7 エンパシー ページ7
side 紫
「・・・そない順序よくやってられへんやろ、」
そう、何も難しいことやない。
洗いざらい並べたてて送りつけるだけや、藤井の証言と、時系列と。
電話やなくて、書面に残るように。
学校と同じ会議狂いの公務員稼業はお互い様やから、
時間はかかるかもしれへんけど
これで動かれへんような公的機関やったら
税金かけるだけ無駄やと思う、ほんまに。
「気持ちは分かる、けど、
慎重にならなあかんて
小瀧の今後かかってんねんから
心配なんは分かるけど、」
「分からんよ」
「・・・え？」
お前には一生分からん。
「・・・なんて？」
「や、何もない」
「なぁ、頼むでほんま
無茶せんといてよ」
カタカタ、片落ちのキーボードが忙しく鳴り続ける。
「俺が無茶せんといたら
状況が良くなるんか？」
「崇裕、」
「あいにくお前みたいな優等生ちゃうねん
校長のお気に入りでもないしな」
「・・・どういう意味や、それ」
「お前と別れた理由の話」
「・・・・・それはっ、誤解やって何度もっ・・・」
わざと、関係ないことで怒らせたのは
淳太は淳太なりに、
保身や問題の先送りしてるわけやなくて、
ほんまに心から小瀧のこと考えて慎重に、会議で話し合わなって思っとるのが分かるから。
純粋で、ええとこ育ちで、人を疑うことを知らへん。世界中の誰とも、ほんまに話合ったら解り合える、て信じてる。
別に嫌味やなくて、そんな奴とやり合うたとこで、どこまでも平行線で話終わらんと思ったから。
「・・・帰る、わ」
「あっそ」
「・・・・会議で、話すで、俺は
お前出席せえへんつもりやろうけど」
そう残して、淳太は俺に背を向けた。
淳太は淳太なりに。
俺は俺なりに出来ることをするしかない。
職員室の時計の短針が五時を回った。
「・・明日には間に合わんな」
ようやく作り終えたデータをメールして、
それだけやと心許なくて、プリントアウトして送りつけようとした書類を、
速達と赤く記した封筒から取り出す。
何だか胸騒ぎがする。
一分でも、一秒でも惜しい。小瀧の名前を雑に黒く塗りつぶしながらファックスのおもて紙を印刷にかけた。
「・・・頼むから」
こんな形で、蘇るなんて。
何でもいい。
誰でもいい。
あいつを救ってやれるなら。
今辛いのは俺やない、小瀧や、一体
いつから────
悪い夢が過去に時間を巻き戻す。
感情移入が過ぎた心が錯覚を起こして、
頬に伝わせた涙を、シャツの袖でぞんざいに拭った。
─────
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まいん(プロフ) - Noさん» ありがとうございます。わざわざコメントまで書いていただいて恐縮です。すみません。そんなふうに言っていただけてこちらこそ本当に嬉しいです。ありがとうございます。 (2021年4月30日 22時) (
レス) id: 715f3175ec (このIDを非表示/違反報告)
まいん(プロフ) - かこさん» Oh…ありがとうございます(泣)こちらこそ早速ご覧いただき本当にありがとうございます。お待たせしてすみませんでした。 (2021年4月30日 22時) (レス) id: 715f3175ec (このIDを非表示/違反報告)
No(プロフ) - ずっと待ってました>_<本当に嬉しい限りです。 (2021年4月30日 18時) (レス) id: a928634097 (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - まいんさん» ずっと待ってました（ ; ; ）更新してくださって本当にありがとうございます！ (2021年4月30日 14時) (レス) id: 6e72dd3f11 (このIDを非表示/違反報告)
まいん(プロフ) - 名無しさん» お恥ずかしいです。もったいないご感想で恐縮です。そして嬉しいです。私の小説に対してなのか不安になってしまうほどです。何かの間違いでなければ、本当にありがとうございます。 (2021年4月30日 11時) (レス) id: 715f3175ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まいん | 作成日時：2019年9月6日 19時
