8 一夜明けた職員室にて ページ8
side 黄
「・・・は、はま、ちゃん、」
え、って声に出てまうとこやった。
複合機のADFが資料を吐き出す音に紛れて、聞き慣れたそのあだ名が耳に飛び込んできた。
殆ど脊椎反射みたいに崇裕のデスクを振り返ると、まさかと思った声の主がそこには居って、ついでに今の俺と変わらん驚きの表情浮かべる崇裕と目が合うた。
はまちゃん、
て言うたやんな、今、
お、おお、言うたな、
喧嘩明けの気まずさは横に置いて、そんな目配せを俺と交わしながら崇裕は小瀧に対峙した。
「・・小瀧、がそんな言うん珍しいな」
「あっご、ごめんなさい、」
「ええよええよ、」
「み、皆先生のこと、は、はまちゃんて呼ぶから・・」
「うん、小瀧の呼びやすいように
呼んでくれたらええよ」
微妙に甘酸っぱい空気が流れているように思えるのは気のせいか。
「・・・あっ、・・あの、昨日は、
す、すみませんでした」
「そんなんええねん、
ちょっとは、落ちついたか？」
昨日何があったか、それは多分俺も崇裕から聞いてる内容と同じやろうけど。
そんなことよりも。
崇裕が、生徒にはまちゃんて呼ばれて相手を嗜めへんの初めて見た。
それに崇裕のやけに、優しくて柔らかな声。
最も驚くべきは、そんな崇裕への信頼感がひしひし伝わってくるような、小瀧の態度。
何が起きとる？
何が、あったんや。
「は、はい、・・・
あの、ほんまに
いつも・・・・・ありが
・・・・・・・、」
他の先生には、気づかれてへん。
小瀧の言葉や、息づかいに集中している俺と崇裕だけにしか、きっと。
小瀧が泣きそうになりながら、言葉に詰まったことは。
「・・・もー大袈裟やな！小瀧は」
小瀧に涙を溢させないように、あえて明るく笑い、小瀧の肩をはたく崇裕と。
控え目に、不器用に微笑んで、涙ぐんだ瞳を隠すように長い前髪を触る小瀧をつぶさにこの目で追いながら、
思わずには居られんかった。
崇裕の、大切なものを見つめるときの、優しい目。
俺も一度はその目で見つめられたことがあるから、わかってしまうねん。
コピー機のローラー音が鳴り止んでも、
俺はしばらくその場を動けなかった。
崇裕が、小瀧を助けたい気持ちは、
俺にも止められへんかった、
暴走ともつかない必死さは、
もしかしたら
その基にある感情は、────
───────。
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まいん(プロフ) - Noさん» ありがとうございます。わざわざコメントまで書いていただいて恐縮です。すみません。そんなふうに言っていただけてこちらこそ本当に嬉しいです。ありがとうございます。 (2021年4月30日 22時) (
レス) id: 715f3175ec (このIDを非表示/違反報告)
まいん(プロフ) - かこさん» Oh…ありがとうございます(泣)こちらこそ早速ご覧いただき本当にありがとうございます。お待たせしてすみませんでした。 (2021年4月30日 22時) (レス) id: 715f3175ec (このIDを非表示/違反報告)
No(プロフ) - ずっと待ってました>_<本当に嬉しい限りです。 (2021年4月30日 18時) (レス) id: a928634097 (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - まいんさん» ずっと待ってました（ ; ; ）更新してくださって本当にありがとうございます！ (2021年4月30日 14時) (レス) id: 6e72dd3f11 (このIDを非表示/違反報告)
まいん(プロフ) - 名無しさん» お恥ずかしいです。もったいないご感想で恐縮です。そして嬉しいです。私の小説に対してなのか不安になってしまうほどです。何かの間違いでなければ、本当にありがとうございます。 (2021年4月30日 11時) (レス) id: 715f3175ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まいん | 作成日時：2019年9月6日 19時
