鉛色の空〈JW青×桃〉２

◇ 　番外〈赤×緑♀〉eyes on me. ページ12

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「しげは、藤井くんが好きなんやね」



夕暮れの日差しを受けて一層、
先輩は綺麗やった。
それに見とれた休日の雑踏の中、
不意の言葉に激しく動揺して
咄嗟に踏み出した体を
先輩が引き戻してくれた。



「信号、まだ赤やで」



ふふ、と笑った先輩のいつもと同じ横顔は
少しも傷ついてへんように見えた。



「・・・・・せ、先輩
気づいてたんすか・・？」
「もー。ちょっとは否定してよ」



そんな正直なとこも、私は好きやけど、
言いながら、また笑う。



最近、上の空だった。

自分でも自覚はあった。

流星の様子が気になって仕方なくて。

多分、恋をしてる最中の、流星の様子が。



自覚はあった、先輩にも多分、
伝わってもうてるほどの、
上の空の自覚。


おれは先輩に甘えてた。







「すみません、おれ」



やって、あまりにも綺麗に
先輩が笑うから。



すぐに否定してあげられへんかったおれの反応が、

心非ずのままに触れ、話し
見つめ合っていたことが
人にどれだけ
痛手を負わせることになるかにも
その瞬間まで
気づけずにいた。



「ううん、今まで楽しかった」

「え？」

「別れよ、しげ」

「・・先輩、おれほんまに先輩のこと、」

「しげやめて、」





その瞬間だけやった。
先輩の笑顔が
歪んだ。






「・・ごめんな私、今日はまだやっぱり、
買い物でもしてくわ
先帰ってええよ」

「・・・先輩」

「ほら、青なったよ」







おれの背中を押しながら

必死で笑う、瞳の中は涙でいっぱいやった。









傷ついてへんように見えた。

おれには過ぎた人、やった。






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eyes on me.end

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