振り向かせたい。36 ページ37
_______________五日前。
「マジでどうしよ」
「いや、早く告れよ」
神社の石段に座って三ツ谷が呟くと、龍宮寺堅…通称ドラケンがそうつっこんだ。
その隣にいる佐野万次郎、通称マイキーは無言でどら焼きを食べている。
三ツ谷は今日、東卍の集会が終わった後にこの二人を呼び止め、恋愛相談をしていた。
マイキーはともかく、ドラケンは恋愛相談に適していると考えたからだ。
「いいか、Aは確実にオマエのことが好きだ。オマエだって流石に気づいてるだろ?逆になんで告らねェんだよ?」
「だって、Aのアレは友達同士のじゃれ合いかもしれねェし…。逆にAはオレのアピールに気づいてねェの?好きでもねーヤツを海になんて誘わねェよ」
「……ケンチンだってエマに告らねェくせに」
オマエ今はそれ関係ないだろ、と言ってドラケンはマイキーの頭を軽く叩いた。
叩かれた本人は肩を竦めただけで、またどら焼きを食べ始める。
「……Aはンなことしねェよ。早くしねーと誰かに取られンぞ?」
誰かに取られる、その言葉に三ツ谷の肩がぴくりと動いた。
あともうひと押しか、と思いドラケンは更に言葉を続ける。
「大体、やってみねーと振られるかなんて分かんねェよ。オマエ、ずっとこのままの関係でいいのか?」
「それは…」
三ツ谷は言葉をつまらせた。
このままの関係ではいたくない、だが振られて今までの関係が崩れるのはもっと嫌だ。
……誰だって、この思いを一度は経験するだろう。
「オラ、とりあえず帰って計画でも立ててこい。次Aに会った時は絶対ェ告るんだぞ?」
「……おう。ありがとな」
どこか吹っ切れた顔で、三ツ谷は薄く笑った。
そうだ、何事もやってみなければ分からない。
二人に手を振って、石段を駆け下りていく三ツ谷の背中を見届けてから、ドラケンは呟いた。
「よかったのか、マイキー?」
「………いーんだよ、これで」
夜の暗さでマイキーの表情を伺うことはできない。
だが、彼の声は心做しか悲しそうに聞こえた。
「オマエだって、Aのこと…」
「あーあ、どら焼きなくなっちゃった。買いにいこーぜ、ケンチン」
ドラケンの言葉を遮るようにしてマイキーが言う。
流石にこれ以上は、ドラケンも何も言わなかった。
「…もう店開いてねェよ。明日な」
何事も無かったように、二人は神社を出ていった。
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ベル - ストーリーが好みすぎて辛いですww海に行った時すごくキュンキュンしました!! (2022年3月5日 21時) (レス) @page41 id: 57e8e1c27e (このIDを非表示/違反報告)
泡瀬 るり(プロフ) - るいさん» 最後まで読んで頂き、ありがとうございました!!そう言っていただけて嬉しいです!! (2021年9月2日 7時) (レス) id: e8f1067ad3 (このIDを非表示/違反報告)
るい(プロフ) - 素敵すぎました…!きゅんきゅんしましたありがとうございます! (2021年9月1日 23時) (レス) id: 4cd171caaf (このIDを非表示/違反報告)
泡瀬 るり(プロフ) - 苺ミルク飴さん» そう言っていただけて嬉しいです!書いたかいがありました……!長文ありがとうございます!!他作品もどうぞよろしくお願いします! (2021年9月1日 7時) (レス) id: e8f1067ad3 (このIDを非表示/違反報告)
苺ミルク飴(プロフ) - 完結おめでとうございます!めっちゃドキドキしました…!特に最後の方の三ツ谷くんかっこよすぎてずっとにやけてました笑夢主ちゃんもすごく可愛くて、とても面白かったです!素敵な作品をありがとうございました!他の作品の更新等頑張ってください!応援してます! (2021年8月31日 23時) (レス) id: 976df8db05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:泡瀬 るり | 作成日時:2021年7月27日 23時