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振り向かせたい。15 ページ16

『ちょ、なんで謝るの?三ツ谷が助けてくれなかったら私は今頃…』


そこまで言いかけて言葉が詰まる。

今頃……どうなっていたんだろう。



そう考えてゾッとする。三ツ谷が来てくれなかったら、本当に大変なことになっていたに違いない。



「でも俺がAから離れなかったらこんなことには…」



『もう過ぎたことなんだからいいよ!結局結果オーライじゃん』



まぁあそこでトイレ行かれるのはタイミング悪かったけど…と小さく付け足す。


まぁトイレなら仕方ないよね、うん。



「その事なんだけど…」


『え?』


「本当はトイレ行ってたんじゃなくてさ」




じゃあどこに行ってたんだ、と訝しげに三ツ谷を見た。


私のその視線に、三ツ谷は特攻服のポケットをごそごそと漁り始める。



『……ネックレス?』



三ツ谷が取り出したのはネックレスだった。


しかも女性用のデザインである。




「さっき雑貨屋行った時さ、コレが目に止まって…Aに似合うなって。ほら、オレAにはシルバーが似合うって言ったろ?」



そう言って三ツ谷はにっと笑った。手元のネックレスがキラッと光る。




_______________じゃあ、そのネックレスは私のために…?




「さっきのお詫び…って言ったらなんか違うけど、貰ってくれるか?」



三ツ谷は照れたようにはにかんだ。



あまりの驚きに動揺が隠せない。

ここで、心臓が思い出したようにバクバクと忙しなく動き始めた。




「…A?」


『……けて』


「え?」


ネックレスを持ったままの三ツ谷の手を、自分の方にグイッと引っ張った。



その手を掴んだまま、上目遣いに三ツ谷を見つめる。


友達曰く、私のいい所は「顔」だそうだ。…自覚済みである。




『三ツ谷が私に着けて』



三ツ谷の顔が徐々に赤く染まった。



三ツ谷が照れるのが嬉しくて、ずいっと三ツ谷に顔を近づける。



『…つけてくれないの?』


「…わかっ、た」



悲しそうな声色を出すと、小さな声で三ツ谷は了承した。


おずおずといった感じに、三ツ谷が私の首に手をかける。



それが擽ったくて、少し身をよじった。




______________カチャ、と小さく後ろでネックレスが留まった音がした。

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ベル - ストーリーが好みすぎて辛いですww海に行った時すごくキュンキュンしました!! (2022年3月5日 21時) (レス) @page41 id: 57e8e1c27e (このIDを非表示/違反報告)
泡瀬 るり(プロフ) - るいさん» 最後まで読んで頂き、ありがとうございました!!そう言っていただけて嬉しいです!! (2021年9月2日 7時) (レス) id: e8f1067ad3 (このIDを非表示/違反報告)
るい(プロフ) - 素敵すぎました…!きゅんきゅんしましたありがとうございます! (2021年9月1日 23時) (レス) id: 4cd171caaf (このIDを非表示/違反報告)
泡瀬 るり(プロフ) - 苺ミルク飴さん» そう言っていただけて嬉しいです!書いたかいがありました……!長文ありがとうございます!!他作品もどうぞよろしくお願いします! (2021年9月1日 7時) (レス) id: e8f1067ad3 (このIDを非表示/違反報告)
苺ミルク飴(プロフ) - 完結おめでとうございます!めっちゃドキドキしました…!特に最後の方の三ツ谷くんかっこよすぎてずっとにやけてました笑夢主ちゃんもすごく可愛くて、とても面白かったです!素敵な作品をありがとうございました!他の作品の更新等頑張ってください!応援してます! (2021年8月31日 23時) (レス) id: 976df8db05 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:泡瀬 るり | 作成日時:2021年7月27日 23時

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