episode14 ページ15
【Aside】
温泉でチリさんのペースに流されそうになったとき、たまたまお客さんが来て流れを崩すことが出来た。
でも毎回毎回、こうやって助けが入るわけではない。
(私が今変わらないと、この先もずっとこのままになってしまう…
言いたいことは、しっかり言葉にして伝えないと。
流されるままの私でいたくない。私は変わりたい。)
『大事なことをお酒に頼って話して、失敗したらお酒のせい…
お酒は本来こう楽しむものじゃないはずです』
チリさんの事をじっと見つめながら言うと、
彼女は不機嫌そうな口調で言った。
「…成人したばかりの自分に、何が分かるんや。
今までどんな気持ちで……ああ〜、もう嫌や」
彼女は俯き、額を抑える。
暫く沈黙が続く。
私は耐えかねて、一気にグラスに残っていたシンデレラを飲み干した。
『それでも私はもう、子供じゃないんです』
「私から見たらまだまだ子供や」
『でも、私はもう、法的には大人です』
少し震える左手を右手で抑え、話を続ける。
『大人ってみんなそういうものじゃないんですか。
20歳になって大人にはなっても、心はそう簡単に大人にはなれない。
けど子供が出来たり、仕事をしたりするうちに変わらなければいけないと嫌でも気づき始めて、みんな大人を演じてるんじゃないですか。』
「…だったらなんや！チリちゃんもまだ子供だって言いたいんか？」
『子供と大人の境目は、本来はなかったと言いたいんです！
私達はそう簡単に大人にはなれないし、かと言って子供に戻ることも出来ないから
……でもチリさん、ようやく貴女の本音が聞けた気がします』
そう言い捨てて、私は2000LPを置いてから椅子にかけていた上着を着る。
「A」
『一杯しか……飲まなくてすみません。いつかまた来ます。』
グラスを奥に差し出し、バーテンダーにお辞儀をしてから店を出た。
____外は真っ暗で、満天の星空だった。
『もうすっかり遅くなっちゃった…』
私はモンスターボールを取りだし、出てきたポケモンに話しかける。
『久しぶり、早めに家に帰りたいから、きみの背中借りるね…。パルデアのお家に、連れてって…。』
アギャス！と元気よく返事をする相棒の頭を撫でて、背中に乗る。
涙がひとりでにぽろぽろとこぼれ落ちる。
久しぶりの一人の夜はかなり冷え込んでいて
寒さと寂しさで唇が震えた。
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りこまる - やばい……好き (12月26日 2時) (
レス) @page24 id: 9a77c9521c (このIDを非表示/違反報告)
夜月 - すっっっきぃ… (9月2日 23時) (レス) @page24 id: a311a04bdb (このIDを非表示/違反報告)
あんず - この小説が最近の生き甲斐です！続編楽しみにしてます！お体に気をつけて、更新頑張ってください！！応援してます！！ (2023年2月8日 23時) (レス) @page24 id: 05f7df07a8 (このIDを非表示/違反報告)
餅(プロフ) - mさん» コメントありがとうございます！この話は胸のトキメキや無双系ではなく、意地汚さやもどかしさなどの人間味を重視して書いているのでそう言っていただけて心の底から嬉しいです。是非今後もこの作品をご贔屓にして頂けたら幸いです。 (2023年2月7日 21時) (レス) @page24 id: 2288440125 (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - 初コメント失礼します。とても綺麗で人間らしい内容と構成で本当に感動しました。これからどう成長し、展開していくか、本当に楽しみです！これからのご活動も心より応援しております。お身体にはお気をつけて楽しんで作品活動続けてくださると嬉しいです！ (2023年2月5日 16時) (レス) @page22 id: 0d9b393e0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わらび餅 | 作成日時：2023年1月6日 2時
