episode10 ページ11
【Aside】
____あー、結局私は子供の頃から何も変わってない。
チリさんの赤々とした澄んだ瞳を眺めながら、そう思った。
無かったことにしようと言われた10年前のあの時
私は本当は、せっかく頑張った告白を無かったことになんてしたくなかった。
でも、それと同時に
あの時無かったことにしなかったら、……振られてしまったら、私達の今後の関係はどうなってしまうんだろうと怖かった。
だからこそ当時の私は、その提案をのんで現実から逃げてしまったのだと思う。
(今も、子供の頃と同じように、はっきりとしたケジメもつけないまま、流されるまま、私は、チリさんに…)
もういいんじゃないか、そんな言葉が頭によぎった。
大人って、本来そういうものだったのかもしれない。
チリさんは、いつも正しいのかもしれない。
愛も恋も、たとえ曖昧でも、その場で何となく酔えて、何となく幸せならもういいんじゃないか。
何もかもチリさん委ねて、楽になろうか。
そう思い、目を閉じた。
私達はこれからキスをする。
そう覚悟した瞬間だった。
「……お客さん、入ってきたみたいやな」
はっと目を開き室内の方に目を向けると、光の中で誰かの人影が見えた。
すっと離れると、チリさんは苦笑いしながら言った。
「チリちゃん、流石にもうのぼせてもうたわ」
『私も、もうのぼせちゃいました
そろそろ上がりましょうか』
お湯からあがると、夢から覚めたように、さっきより世界が鮮明に見える心地だった。
温泉の余熱を感じつつ、こんな時間に風呂に入りに来る客なんて珍しいなんて話しながら部屋に向かう。
部屋に入ってからはお互い先程までの事はまるでなかったように振る舞い、明日の計画を確認した。
『_____ここで私がこの施設に入り、問題を解決してきますが、万が一３時間経っても私が出てこなかった場合チリさんはポケモンリーグパルデア事務局に連絡を入れて、私が居る施設内には絶対に入らず速やかに退散してください』
「Aが施設内で視察している間に外で異常事態が怒った場合は」
『その場合はポケモン三匹までなら対処してください。それ以上や、それ以外の事態が発生した場合は先程同様____』
30分ほど計画を確認し、部屋の灯りを消す。
少しばかりの寂しさを噛み締めながら、私達は眠りについた。
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りこまる - やばい……好き (12月26日 2時) (
レス) @page24 id: 9a77c9521c (このIDを非表示/違反報告)
夜月 - すっっっきぃ… (9月2日 23時) (レス) @page24 id: a311a04bdb (このIDを非表示/違反報告)
あんず - この小説が最近の生き甲斐です！続編楽しみにしてます！お体に気をつけて、更新頑張ってください！！応援してます！！ (2023年2月8日 23時) (レス) @page24 id: 05f7df07a8 (このIDを非表示/違反報告)
餅(プロフ) - mさん» コメントありがとうございます！この話は胸のトキメキや無双系ではなく、意地汚さやもどかしさなどの人間味を重視して書いているのでそう言っていただけて心の底から嬉しいです。是非今後もこの作品をご贔屓にして頂けたら幸いです。 (2023年2月7日 21時) (レス) @page24 id: 2288440125 (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - 初コメント失礼します。とても綺麗で人間らしい内容と構成で本当に感動しました。これからどう成長し、展開していくか、本当に楽しみです！これからのご活動も心より応援しております。お身体にはお気をつけて楽しんで作品活動続けてくださると嬉しいです！ (2023年2月5日 16時) (レス) @page22 id: 0d9b393e0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わらび餅 | 作成日時：2023年1月6日 2時
