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Aside
『ね…禰豆子ちゃん!?
わ、昔から凄い可愛かったけど
人間の頃の禰豆子ちゃん分からなかったから驚いちゃった!!
すごい綺麗!え、美人…!
……あっ』
思わずトレーを手放して彼女の手を取り、
近所のおばさんようなマシンガントークで話しかけてしまった。
『あの…、えーと…』
ガッシャーンと大きな音を立てて手から滑り落ちたトレーに目線を移す。
……幸いトレーは地面に垂直に落ちたようで、パンは無事だ。
私は飛びつくようにトレーを拾って全力でお辞儀をした。
『い、いきなりごめんなさい!突然知らない人に話しかけられて驚きましたよね!!
それにこの落としちゃったパンも!!ちゃんと責任もって買いますのd』
禰「う、うわぁぁぁぁぁん!!!」
で、、と続けようとした私の言葉を遮り、
彼女は涙を浮かべて私に抱きついてきた。
『おわっ、』
禰「Aさん!!Aさん、なんですね!あ、あのとき、私が人間に戻れたあと、Aさんに兄とお礼を言いに行ったんですけど、Aさん、目が、見えなくなってて、耳も…うっ、うっ…」
『えっと…』
何か、言葉を出さなければと思うのだが
何も口から捻り出すことが出来ない…。
(久しぶりの再会だから、少しは喜んでくれるかな、とは思っていたけれど…。
まさかこんなになるとは思わなかったな…)
私の胸元で泣きじゃくる禰豆子ちゃんの背中をさすりながら、
宇髄さんが言ってたから〜、なんて軽い気持ちで此処へ来たことを、少し反省する。
(…お、落ち着いてきたかな)
嗚咽が止まり始めたのを確認すると、
私はゆっくり彼女の身体から離れようとした。
しかし
禰「ま、待ってください!もう少し、あの、近くに居させてください…」
私の服を掴んで離してくれない。
途方に暮れていると、後ろの方からも泣きそうな声が聞こえてきた。
炭「…………火宮…さん…??」
(おおっと、これはやばいな。)
炭「あ、俺の、俺のせいで…あの時…大怪我をおわせてしまって…
本当に…申し訳ありませんでした…!!」
そう言って、彼は私へ土下座した。
よく見ると後ろの方では、炊きたての夥しい量のパンが散乱している。
『え、いや、ちょ、やめてやめて!!』
すると、今度はチリンチリンと可愛らしい鈴の音が鳴り響いた。
(今度は、何!?)
そう思い、振り返るとそこには…
「…よもや」
今、一番会いたくない
大好きな人がいた。
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ひなた(プロフ) - コメント失礼します。語彙力がすごい上にとても話が面白いのでこの作品推しますよ!この作品大好きです。 (2023年1月10日 15時) (レス) @page9 id: 766649bc8e (このIDを非表示/違反報告)
靈菜(プロフ) - コメント失礼します!ほぼ毎日読ませて頂いてます!話の構成がとても上手ですごく憧れてます!どのような感じで考えているのか、良ければぜひ教えて下さい! (2021年10月2日 22時) (レス) @page2 id: b6a4af0785 (このIDを非表示/違反報告)
餅(プロフ) - ひかるさん» 合掌…!!?こちらこそ朝早く読んでくださって本当に嬉しいです!ありがとうございます! (2020年11月29日 8時) (レス) id: 55e2874e26 (このIDを非表示/違反報告)
ひかる(プロフ) - 朝から震えが止まりません・・・!更新ありがとうございます!(合掌) (2020年11月29日 8時) (レス) id: e49f586e8e (このIDを非表示/違反報告)
餅(プロフ) - ゆず@yuzuさん» そんな、感情移入してくださっていたなんて…光栄です…(泣)はい!更新頑張らせていただきます!これからもぜひよろしくお願いいたします! (2020年11月28日 13時) (レス) id: 55e2874e26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わらび餅 | 作成日時:2020年11月15日 9時