【あんスタ】晩ご飯、今日も食べますか？【椎名ニキ】

二十三皿目 ページ25

HiMERU side



数日前から椎名の集中力を奪っていた原因、ではなく……理由が判定した


まさか、椎名に浮ついた話が出るなんて



『…っあ、あの……』


「どうかした？」


『わ、私…引っ越した方がいい……ですよね…』



目の前で緊張している彼女は恐らくこの場で自分が出せる最適解にたどり着いたと考えたようで、突拍子もないことを言い出した


確かに現状、まだそこまで周知されていないとはいえESのアイドルである椎名とただの一般人の彼女が仲の良い状況は良くは無い

それこそ、まだまだ悪名の方が轟いている現在ではどんな尾ひれがついて広まるかもわからない。……賢い選択肢だと言えるでしょう



「…な、……まぁ、でも……それがいいのかもしれんけど…でもAはんの負担とか考えたら得策じゃ、」


「そういう話なら、大丈夫っすよ」


『ニキさん……？』


「なはは、…僕、実は星奏館に移れって連絡来てるんすよね。だからそのうち引っ越さなきゃな〜とは思ってて。…その、だから……た、タイミングがいいんすよね〜」


「確かに、HiMERU達は通常のESアイドルと同等の扱いを受けるようになっています。…一人暮らしをしているアイドルの元には引っ越し通達が来ていますね」



そう言われてみればそうだ、俺の元にも来ていたはず。割とすぐに承諾の連絡を入れていたから少し忘れていた

同じく一人暮らしをしている椎名の元に届いていないはずはなく。…タイミングがいいというのにも納得はいく


あくまで理由に対してだけで



「だからAさんは引っ越しとか、そういうの気にしなくて大丈夫っすよ！僕が引っ越すので！…むしろ、こんな形でまで迷惑かけて申し訳ないっす」


『え！？い、いやいや、逆に私の方が迷惑かけてばっかりって言うか……じゃあニキさんいなくなっちゃう…んですよね』


「そういうことになる、と思うっす。CrazyBのためにも、僕は多分引っ越すしかないっすからね〜この辺美味しいご飯屋さん結構あって好きだったんすけど…」

「……、それに、これ以上Aさんに迷惑かけらんないっす」


『ぁ〜、それは言えてます。私もよくお世話になりますし。……あれ、すみません、なんか他にも言ってました？』


「え？言ってないっすよ〜僕の腹の虫じゃないですかね？」


『そう言われるとそんな気がしてきました……てか私かも……』



……俺は、恐らく初めて椎名が滑らかに嘘をつく所を見た、そう思う

続く お気に入り登録で更新チェックしよう!

最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している


←二十二皿目

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す