060 - 嫌じゃない ページ12
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大貴くんの顔が視界いっぱいに広がって、
ガッーー
頭上で何かがぶつかる音がした。 たぶん彼が持ってる傘の先が壁に当たった音。
ひんやりした風が吹き抜ける中、お酒のせいなのか…触れている唇がやけに熱く感じる。
心臓は正常なリズムを忘れてしまったかのようにバクバクとすごい速さで脈を打ってる。
そっと顔を離した彼はなぜか悲しそうな顔。
大貴「ほら。 止めてほしいなら言えって、」
「…」
大貴くんは壁に両手をついて、私の顔を間近で見つめてる。
黙っていたら、また近付いてきた。
今度はさっきよりも角度をつけて重なって、唇を彼の舌がなぞる感触に身体が強張った。
怖いから、嫌だから……じゃない。
好きだから、好きな人にされてることだから、
少し戸惑ってるだけ。
また顔が離れた。
大貴「怖いだろ？ 早く言えってば……」
何を焦ってるの…？
大貴「やめて、って言えよ！！」
「や…やめて……ほしくない」
大貴「………っ、」
声を荒げた彼の表情が一変。
目の前の大きくてつぶらな瞳は、動揺しているみたいで目線が定まっていない。
止めてほしいか、ほしくないかの二択なら、
「やめてほしくない。
………大貴くんが好き……だから」
無理やりされて驚いただけで、嫌なわけじゃない。
唖然としていた彼は、またその表情を辛そうに歪めた。
大貴「なんでだよ……なんでよりによって俺なの？」
「えっ？ ……んっ」
今度はさっきよりも更に深く…
荒々しく口付ける彼を受け入れる余裕は無くて。
身体に力が入り過ぎて、鼻で息すればいいのにそんなことすら忘れて苦しくなってきた。
壁に押し付けられてるせいで顔は動かせない。
空気を取り込もうと口を開けたら、角度を変えた彼の唇ですぐに塞がれる。
「んっ…、ふ、ぁ…」
胸を強く押してるのに離れてくれない。
唇が離れる僅かな瞬間に隙間から漏れる声。 自分のものじゃないみたいだった。
「んっ、ぁ…、んぅ」
身体の力が抜けそうになって目の前の彼の服をキュッと掴んだ。
ようやく気が済んだのか、唇の表面を自分のそれでなぞるようにチュッてキスをして離れた。
濡れた口元を手の甲で拭いながら、息を乱す私を見てる。
大貴「んな声出すなよ。 ここ外なんだから」
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もちもち(プロフ) - せりかさん» コメント頂けてると思わず御返事遅くなりすみません; わわ…せりかさん！だだ…だ大ファンです…！信じられない…有難う御座います！！(T-T) (2020年3月4日 12時) (
レス) id: e672c225a3 (このIDを非表示/違反報告)
せりか(プロフ) - こんにちは、初めまして。私は他の方のお話をあまり読まない方なのですが、もちもちさんのお話は文章が綺麗で楽しく読ませて頂いてますー！続き待ってますね。(^^) (2020年2月8日 15時) (レス) id: 02a6a09f83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちもち
| 作成日時：2020年1月17日 23時
