059 - 苛立ち ページ11
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声のした方向に振り向くと、大きなビニール傘を差した大貴くんがこちらを睨みつけていた。
恐怖から解放されて、ホッとして涙が出そうになった。
大貴「何してんだ…って訊いてんだけど」
声のトーンが更に低くなり、彼が発しているただならぬ雰囲気に場が凍り付いた。
*「いや……その……」
普段の彼からは想像もつかない程の冷たい視線。
目を細めて眉間にシワを寄せて明らかに機嫌が悪そうに見えた。
大貴くんのこんな表情初めて見た。
男性達に対して敵意剥き出しで、ゆっくりとした足取りで近寄ってくる。
自分が苛ついてるのをわざと見せつけるように、威圧的に。
私の身体に触れていた男性の腕がスッと離れた。
今、彼が放ってる空気…
こういうのを『殺意』っていうのかもしれない。
背筋が凍って息も詰まる。 暑くなんてないのに変な汗が噴き出してきた。
数分前まで饒舌に私を誘っていた男性達は、逃げるようにいなくなった。
ーー
私に傘を差してくれてる大貴くんはまだ不機嫌そうだった。 でも、男性達がいなくなったからか妙な緊張感は無い。
「あ…ありがと……」
大貴「…ったく、なんで助け呼ばねぇんだよ」
「…助け? 別に脅されてたわけじゃ、」
大貴「あの日だって、俺が店に行かなかったらどうなってたか…」
あの日…合コンがあった日の夜のことだよね。 今日みたいに男の人に連れて行かれそうになって…
うまく断れなくて危ない目に遭いかけてたところを今日と同じように助けてもらった。
大貴「知らない男に気安く触られてんじゃねぇよ」
「ちっ…ちがう…私、ちゃんと断ってたもん」
怖くてパニックになっただけだから。 なんでそんなに怒るの…
大貴「危なっかしくてイライラする」
私が反省してなくて逆に反論したことにも怒ってるみたい。
大貴「嫌なことは嫌だ、ってはっきり言えるようになんないと……どうなるか分かるか?」
「っ…!」
私の肩の辺りを突き飛ばしてきた。 オフィスビルの壁に背中をぶつけて鈍い痛みに思わず目を閉じた。
「…………」
大貴「………」
急に訪れた静寂。
恐る恐る顔を上げて目を開けると、顔を傾けた大貴くんがすぐそこにいて…
「んんっ…!」
唇に温かい柔らかな感触が触れた。
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もちもち(プロフ) - せりかさん» コメント頂けてると思わず御返事遅くなりすみません; わわ…せりかさん!だだ…だ大ファンです…!信じられない…有難う御座います!!(T-T) (2020年3月4日 12時) (レス) id: e672c225a3 (このIDを非表示/違反報告)
せりか(プロフ) - こんにちは、初めまして。私は他の方のお話をあまり読まない方なのですが、もちもちさんのお話は文章が綺麗で楽しく読ませて頂いてますー!続き待ってますね。(^^) (2020年2月8日 15時) (レス) id: 02a6a09f83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もちもち | 作成日時:2020年1月17日 23時