雲の切れ間から After Story - Daiki.A

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大貴「そいえば、話って何？」


「ほえ…？」



歯ブラシが口に入っていたからか、変な声が出た。



あれから……
お風呂から出た大貴とご飯を食べて、お酒をすすめられたのをそれとなく断って、2人でソファに座ってテレビを見ていた。



大貴は横でコーヒーを飲みながら私の顔を覗き込む。



「ん〜ひょっひょまっへへ」


大貴「は？ ………ははっ、なんつった？」



歯を磨きながら言うことじゃないと思って、慌ててソファから降りて洗面所に向かう。



なに？ 勿体ぶらずに言えよ、って後ろから大貴の声がした。



ちょっと待ってて、ってば……



口をゆすいで、冷静になる為に深呼吸する。



それなのに、心臓がどくん、どくん、って早くなっていく。



あ〜どうしよう、どうやって伝える？



エコー写真を見せて、
ジャジャーン！妊娠しました！ って？



リビングに戻ると、テレビを消して台本のようなものを読んでいる大貴。



仕事かな……
今ちょうど映画の撮影が忙しそうだもんね。 今月はまたコンサートもあるみたいだし。



邪魔しちゃ悪いと思って、ソファにいる大貴には近付かず、ベッドに寝っ転がってスマホをいじることにした。



集中してて私に気付いてないのか、それとも私が言うのを待っていたのか、それから30分くらい何も会話がない静かなリビング。



つわりは波があるみたいで今は気持ち悪さはそんなにない。



ご飯の匂いがとにかくダメみたい。 あと強めの整髪剤とか香水の香り。



この状態じゃ通勤しんどそうだなぁ。
電車乗ってる時間短いから、同じ境遇の人よりもましなんだろうけど。



大貴「なぁ」


「っ…」



枕に顔を埋めて明日の出勤を想像して憂鬱になっていた私。 真横から大貴の声がして我にかえる。



大貴「話って？」



顔を上げたら部屋の照明が間接照明だけになっていた。



肩を掴まれて、ごろんと仰向けにされると大貴が私を見下ろしていた。



あれ…
この展開はまずい……



私が着ていたパーカーのファスナーに手をかける大貴。



ジー、てファスナーがお腹の辺りまで下ろされる。



首元にある私の髪を掻き分けて、首筋に顔を埋めてきた。



「あっ……ま、待って…だめなの」



これ……たぶんこのままだと、
そういうことする流れになる。



大貴「A……」



心地良くて、興奮を掻き立てるように、掠れた低い声で色っぽく私を呼ぶ。



耳元で囁くその声に身体がゾクッて反応した。



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