17 - 高2 ページ17
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紗奈の様子が気になって1人で探しに行ったら女子トイレにいた。
「嘘は禁止だよ」
顔を覗き込めば目が真っ赤だった。
紗奈「先週末ね、慧とファミレスで勉強してたの。
帰りに満員電車乗ってたらお尻のあたりに違和感あって………痴漢されてることに気付いたの」
「へ? 慧くんに?」
紗奈「ぷっ!…ちがうっ」
ちょっと吹き出して、さっきの大ちゃんが慧くんにやったみたいにバシッとツッコミを入れられた。
「ごめん分かってる。」
わざと聞いたんだよ。やっと今日笑ってくれた。
彼女を抱きしめた。
紗奈「慧は…、慧が私の様子に気付いて、電車降りたタイミングで痴漢を車両から引っ張り出したの。
あんなに怒ってる慧初めて見た。
で、その犯人…逃げたの。柄にもなく犯人追っかけてくれて…
暴れて突き飛ばされて線路に落ちて…」
あの骨折は私のせい… って泣き崩れる紗奈。
怒りと悲しみとがごっちゃになって、かける言葉が見つからなかった。
助けてくれた慧くんがこんなことになって、どんなに辛いだろう。
〜♪
鐘が鳴ったので教室に戻る。
泣きすぎてまだ目が赤い紗奈。このままだとなんか言われそう。
うるさい大ちゃんに会ったら最悪だ。
手前の扉から教室に入ると、最前列の慧くんと会ってしまうので後ろからこっそり入った。
それでもやっぱり大ちゃんに見つかる。しかも慧くんと話していて想定していた最悪のパターン。
大貴「おーい紗奈!」
紗奈「…」
大ちゃんを完全無視して席に着き、伏せてしまう。
なんだあいつ…っていじける大ちゃん。
風船みたいにぷくーっとふくれた大ちゃんの横で、真顔の慧くんと目が合う。
「サ・ナ・ダ・イ・ジョ・ブ?」…かな?
首を横に傾げて口パクで訊いてきた。
手でオッケーと伝える。
「ア・リ・ガ・ト」
にこっと柔らかい笑顔になる慧くん。
突っ伏したままの紗奈に優しい目を向けていた。
横でこの無言のやりとりに気付いた大ちゃんが面白くなさそうな顔をしていて少し笑ってしまった。
午後のホームルームでは慧くんの骨折の話が中島先生からあって、騎馬の編成を変えたりリレーの順番を変える打ち合わせをした。
チラッと教室後方の紗奈を見たら、心ここに在らずな顔だった。
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作者名:もちもち | 作成日時:2019年7月19日 0時