番外編 ページ32
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……つまらない。
だって、さっきから魔王は……
「魔王さま〜♪」
彼の前には綺麗な女の人が群がって来てる。
『……何だ?』
「私のこと、覚えてませんか?」
……ほら、また。
これで、何人目?
――と思ったけど、私は見て見ないふり。
「魔王様♪わたくしの事、覚えてませんの?」
『悪いが、全く覚えてない』
「魔王様の妃候補だったサリーです。
わたくし、魔王様と過ごしたあの夜の事が忘れられませんの」
『…悪いが、覚えてない』
「今日の結婚だってわたくしは認めてませんのよ!」
そうよね……。
この、綺麗なお姉さん達は
不満だらけだよね……。
だって、魔王は自分の結婚相手に
こんなお子ちゃまの私を選んだんだから……。
私はなんだか寂しくなって、その場を離れた。
ニノ「なに、こんなとこで、どうしたの?」
「…いや、別に……何でもない、です…。」
そう言って、遠くにいる魔王さんを
ちらっと見ると。
ニノ「あー、あれ!?ふーん…なるほどね、
ククク笑…」
「……何がおかしいの?」
ニノ「いや…、なんかね 笑…」
「みんなして、私を子供扱いして。」
ちょっと、唇を尖らせて二宮さんを睨むと…。
ニノ「ほら、そんな顔してないでこれ飲みなさいよ」
渡されたのは、グラスに入ったピンクの飲みもの。
「これ…何ですか?」
ニノ「大人は、不安だったりするとこれ飲んで度胸をつけたり、イヤなことを忘れたりするんだよ」
「…するん…です…か?」
ニノ「うん、俺も忘れたいこと
たくさんあるからね」
「そう…なんですね」
ニノ「飲んでみ?」
恐る恐る…グラスに口を付けて…
飲んでみると。
「あ、美味しい!」
甘くて…
シュワッとして…
幸せになりそうな味…
ニノ「だろ?ほら、今日は特別だから飲んでいいよ」
二宮さんに勧められるまま
私はそのピンクの飲みものを飲み続けた。
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作者名:ミイ | 作成日時:2015年1月21日 21時