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「きゃーー!誰か〜!助けてーー!
お巡りさん〜〜!」
『うっせ〜な。突然、あの月から降ってきて
俺を押し倒したのはおまえだろうが』
イケメンのお兄さんが
ぐっと顔を近づけながら言った。
「月…って、あの赤い月から私が降ってきたの?」
『そうだけど…おまえ、覚えてないの?
俺はてっきり、かぐや姫がお婿さん候補として、俺をあの月から迎えに来たのか…と思った』
「…バッカじゃないの!?」
…って、私は言いながら考えた。
……私は学校帰りにケガをした犬を助けて
バルコニーから一緒に落ちて
それから、気を失って
目が覚めたらここにいたんだ。
ああ〜!そうか、分かった!
…って、ことは
「ね、ここ…って、あの世への入り口?」
『…あの世への入り口…ってなんだ…それ?』
「…確か、わんちゃんがそれに似たようなことを言ったよ?」
『…わんちゃん……?』
「うん、‘ぼくと一緒に魔法の国に行こう'
…って」
『あ、それ…聞き間違いだと思う』
「え?」
『‘魔法の国’じゃなくて‘魔界の国’だよ』
「‘魔界の国’…って、意味わかんない…」
『だから、ここは俺の国で‘魔界の国’なんだよ。…って、意味分かるか?』
……そんなドヤ顔して
わけわかんないこと言ってるこの人。
……頭は良さそうに見えるけど
本当はすごくバカで、妄想激しい人なのかも。
とりあえず危ない人からは離れないと…って。
「んっ…?」
『……』
「ちょ…、離して」
『……』
妄想変態男にがっしりと腰を捕まえられて
動けない私は焦った。
「ちょ、ヤダ…離してっ!」
泣きそうになりながら暴れると
『男にまたがりながらケツ振るなよ…
俺のかぐや姫☆』
「ケ、ケ、ケツ…って///
わ、私、お尻なんか振ってないし!
それに、私はかぐや姫じゃないの!!」
『じゃあ、なんて名前だよ…』
ちょっと、唇を尖らせながら
少し照れたように私を見つめると
彼は、私の名前を尋ねてきた。
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作者名:ミイ | 作成日時:2015年1月21日 21時