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「…魔王…さん」
『俺、その呼び方嫌い。
ほら…ちゃんと、俺の名前で呼んで?』
「うん…あの…翔さん」
『ん?なに?』
チュッ、チュッ
私の腰に腕をまわしながら
私の頭に何度もキスをしてくる彼…
「翔ちゃん、喜びすぎ(笑)」
聞いたことがある声に振り向けば
そこには、緑のスーツを着てる男性がいて…
『アイバ、お前だってシッポ振ってるじゃん』
「え、シッポ…ウソ!…って、シッポないじゃん!ちょー、あせったーー!」
シッポ?え?
ひょっとして、この声は…あのわんちゃん?
「きっと、早く2人きりになりたい…って
思ってるんだよ」
『うるせーぞ、ジュン』
ジュン?ジュン…って言った?
え?でも…ジュンさん…って女性だったけど
今は、紫のスーツ着てる男性だよ?
「早く部屋に戻りたーい。
戻ってAちゃんとイチャイチャしたい
…って、思ってるんだよね?」
『ニノの言うとおりだよ。
こんなパーティーなんか、俺にとってはどうでもいい事なんだよ』
ニノ?この黄色いスーツ着てる人が
あのニャンコちゃん?
「……何が、なんだか…よく、わからないんだけど…」
『ん?Aが目覚めてくれたおかげで
この国にかけられてたマキフィセントの魔法が解けたんだよ』
「…魔法?」
『愛するAと俺が出会って、結婚できたおかげで、全ての魔法が解けたんだよ』
「翔ちゃんにとって、最高の誕生日
プレゼントになったよね?」
青いスーツの男性がそう言って笑った。
きっと、彼は
「爺」と呼ばれてた人なんだ…って
すぐに分かった。
だって、魔法が解けたのに
なぜか…あんまり変わらないんだもん。
「まずさぁ…あのマキフィセントとヤった…
ングっ」
何か言い出しかけた
ニノの口をふさぐ翔さん。
『そ、そんなことより、乾杯するぞ!』
それを合図にみんなが
シャンパングラスを持ちあげた。
「翔ちゃんの誕生日と
Aちゃんが目覚めてくれたことに乾杯♪」
未成年の私が飲んでもいいのかなぁ…と思いながら
シュワシュワと泡立つシャンパンに口をつけると
フルーティな香りとちょっぴりオトナの味がした。
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作者名:ミイ | 作成日時:2015年1月21日 21時