27 魔王サイド ページ27
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数秒か数時間か、
それとも、数日が経過したのかさえもわからない。
―――――――
―――――――
「翔ちゃん、何か食べなきゃダメだよ?」
ジュンが運んでくれた食事にさえ
手をつける気にもならない。
『…いらない』
Aの頬に触れながら、小さく返事をした。
結婚式に起きたあの事件から
Aは目を覚ますことはなった。
もう二度と
その瞳に俺を映すこともなければ
怒ったり、笑ったりすることもないのか…
頼むから、目を覚ませよ。
Aにまだ伝えてないじゃん…
俺のこの気持ちを。
「いつになったら、目を覚ますんだよ…」
ふと、情けない声音で呟いてしまった。
「…ごめん、翔ちゃん…俺があのオンナに捕まったりしなければ」
『ニノのせいじゃないよ…
俺の判断ミスで、Aをこんな目にあわせてしまったんだよ…』
「魔界の医者を集め、彼女のキズは完治させたから…後は彼女次第なはずです…」
爺が、俺の肩にそっと手を置きながら言った。
「Aちゃん、聞こえる?
ね、早く起きて?
みんなAちゃんが起きるの待ってるよ?」
Aの寝てるベッドに前足をかけて
彼女の手をペロペロと舐めるマサキ…
Aが目覚めた時に
綺麗な花を見せてあげたい一心で
俺は寝室を色とりどりの花で飾った。
あの結婚式の時、フリージアの花を見て
Aは、嬉しそうに笑ったよね?
A…起きて?
ほら、見てごらん。
黄色のフリージアは無邪気。
白いフリージアはあどけなさ。
赤いフリージアは純潔。
この全ての花言葉がAにぴったりだろ?
花に囲まれて眠るAは
言葉に言い表せないほどに綺麗な姿だった。
そんな中で、心地よさそうに眠る彼女に
俺はそっと笑いかけた。
『そうだ…あの日の続きをしよう。
いいだろ?……A?』
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作者名:ミイ | 作成日時:2015年1月21日 21時