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意外。体力ないと思ってた。
キルアくんにそう言われた。ごもっともです。
私、ゴンくん、キルアくんの三人で並走する。その少し後ろにクラピカさんとレオリオさんがいる。レオリオさんは本格的に苦しくなっているらしく、なんというか鬼の形相なのだ。先ほどまで自分もあんな顔だったのだろうか。魔法でなんとか繋いでいるため、少々申し訳ない気持ちになる。
罪悪感で胸中を濁らせているとゴンくんの顔がこちらに向いた。
「ねえ、Aはいくつ？ 聞いても平気？」
一応ワンクッション入れるあたり、ゴンくんはデリカシーがあるようだ。まあ私はまだ年齢を気にする歳でもないため、普通に答える。
「十四歳」
「へえ！ オレたちの二つ上だ！」
十四歳は魔法界では上級魔法の勉強をし始めても良い頃だ。そう考えて、また情けない気持ちになる。私は中級魔法で失敗してここにいるから……。
「はあ」
「なにため息ついてんだよ。余計に疲れるぞ」
ゴンくん越しにキルアくんが軽く口を尖らせる。それがかなり幼く見えたから「年上にはいろいろとねえ……」と言いながら頬に手なんて当ててみたら、「ガキだってバカにしてんのか！？」と年相応の反応をくれた。
それが、家にいる弟たちと重なった。
今頃うまく魔法が発動していれば、家に帰って家族に挨拶くらいはできたんだろうなあ。そう思うとまたため息が出た。
「……」
今度のキルアくんは見ただけで無反応だった。代わりに、というわけではないのだが、今度はゴンくんがこちらを向く。走る道はそろそろ階段に変わりそうだった。
「Aはどうしてハンターになりたいの？」
「えっ」
まさか、こんな質問が来るとは。想定外の質問に私の心臓は大きく跳ねた。すぐに適当な返しが思いつかない。もし、もし最初にあんなことを言っていなければ、もっと簡単に理由を見繕えたのに。
『私、うっかりここに来ちゃったみたいなんです』
私のバカー！！ 今になって忘却魔法をかけたい気持ちに駆られる。あの時もう少しうまいこと言っていれば、ここまで窮地に立たされることはなかっただろう。
ここでキルアくんの追い打ちが入る。
「あー無駄だよ。コイツ、うっかりここに来ちゃったらしいよ」
「え？ そうなの？」
そうだけれども！ 間違ってないけれども！ なんか恥ずかしい！！
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作者名：敷 | 作成日時：2019年8月22日 21時
