○ ページ44
母は半間さんの食べっぷりの良さに「男の子ねぇ」と喜んでいた。
お父さんの分はなくなったらしい。可哀想に…。
しかし基本的にご馳走をしてくれる相手は嫌いじゃないのか、しっかりとご馳走様を唱える半間さんは微笑ましかった。
「んじゃ、稀咲迎えに行くわ」
「え？これから出かけるんですか？」
「野暮用でな」
玄関を出て行く半間さんについて外へ出ると、庭に厳ついバイクが停められていた。
ヘルメットが見当たらないことが気になって仕方ないけど、渋々目を瞑り「とにかく安全第一でお願いします」と念を押す。
それを聞いているのか聞いていないのか、家の前でバイクに跨った半間さんは適当な返事をしていた。
「怪我しないでくださいね」
「つまり一方的にボコって
「予想だにしていなかった解釈で戸惑いしかありませんよ！」
時折親戚のお兄ちゃんかと勘違いしそうになるくらい仲良くなったつもりだけど、やっぱり半間さんは半間さんだった。
苦笑いで半間さんへ手を振ろうとした、その時。
突然手を引かれてふたりの距離が一歩近づいた。
「ずっとからかってやろうと思ってたんだけどよぉ」
タバコの香りをふわりと感じたと同時に、低い声が耳をくすぐった。
「オマエ、オレ以外とキスしたことねーだろ」
ビクッと肩を跳ね上げた直後。
私は大きく息を吸って耳を塞ぎ、全力でその場を離れて家の塀へと隠れた。
「っな…なんっ、なんですか急に！！！」
「ばはっ、図星みてぇだな♡」
「あれはノーカンです！人工呼吸みたいなものです！ファーストキスなんてしてません！」
「オレだってこの時間軸ならAがファーストキスになるしお互い様だぜ？」
「その理屈だと私の人生二回ともファーストキスは半間さんになりますよ！？」
「うわ…」
「なんでそこで引くんですか！？えーん！稀咲くんに会いたい…」
いやこんな話聞かれたくないけど…。
半間さんの思惑通りまんまとからかわれてしまった私は、結局塀に隠れたまま半間さんをお見送りした。
上機嫌な半間さんの背中が恨めしい。
更にその日の夜のこと。
“罪”と“罰”を手に負ったままお風呂から上がってベッドへ転がると、半間さんのタバコの匂いがした。
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もずく(プロフ) - あさん» 設定やセリフなど戸惑いなく読んでもらえるよう気をつけていたので、そう言っていただけて安心しました。全話一気読みお疲れ様です！稀咲夢を楽しんでもらえて凄く嬉しいです！コメントありがとうございます。 (2022年1月23日 21時) (
レス) id: 46c3a4c6cb (このIDを非表示/違反報告)
あ - 夢小説特有の変な設定やセリフがなくて好きです。読みやすいし、30分で全話読んでしまいました笑稀咲の夢小説は見たことがないです…斬新でいいですね！ (2022年1月23日 16時) (レス) @page37 id: 9fc44877f3 (このIDを非表示/違反報告)
もずく(プロフ) - 塩キャラメルさん» 楽しんでいただけて凄く嬉しいです！この小説を書き始めて本当によかったです。稀咲夢が増えることを願わずにいられません。距離感や夢主の性格などは特に気をつけて書いていた部分なので本当に嬉しいです。コメントありがとうございます！これからも更新頑張ります！ (2022年1月23日 11時) (レス) id: 46c3a4c6cb (このIDを非表示/違反報告)
塩キャラメル(プロフ) - 稀咲落ちの小説少なくて探してたんですが、とても面白い作品を見つけることができて見て良かったな、と思ってます。稀咲との距離がだんだん近付いていく感じとか、夢主ちゃんの性格もすごく好みで読むのが楽しかったです。体を壊さないように、更新頑張って下さい。 (2022年1月23日 9時) (レス) @page35 id: 28c0fa0ca6 (このIDを非表示/違反報告)
もずく(プロフ) - 香さん» 好きと言っていただけてとても嬉しいです！応援していただいていると思うと頑張れます。コメントありがとうございます！ (2022年1月22日 10時) (レス) id: 46c3a4c6cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もずく | 作成日時：2022年1月13日 0時
