○ ページ36
「ククッ、アホ面♡」
「むぐぅ！？」
ぽかーーんと口を開けて固まっていた私に、半間さんがハンバーグを押し込んできた。
フォークが刺さりそうで怖いのでやめてほしい。
故意的に刺してきそうだし本当にやめてほしい！
デミグラスソース味のお肉をもぐもぐと咀嚼してその言葉といっしょに飲み込んだ。
「そっち詰めろ」
「えっ、もうなんですか？」
一人で定食を三つも食べる巨人が何故かわざわざ向かい側から移動してきてそう言う。
彼は最近190センチを超えたらしい。
体は細く見えるのにどえらい姿勢で座るから、ソファーの半分以上が占領された。
「オマエ元々稀咲と付き合いたかったんじゃねーの？」
「っ……ま、まあ…出来れば、そう…ですけど？稀咲くんはまだ小学生ですよ！卒業しましたけど！」
「落とす自信ないんだろぉ？」
「ないです！！」
「ばはっ♡」
こそこそと小声で話しながら私はオレンジジュースを飲んでしかめ面をする。
そう言われても、だって私の気持ちは伝えている。
私が「好き」って言うと稀咲くんは「知ってる」って言う。
こだまでしょうか。いいえ、全然こだまじゃありません。
返事がなくてもいい。
ずっとそう思っていたけど付き合いたいって思ってるってことは、そうじゃないのかな…。
ストローで氷を突き、体の中で絡まる気持ちを全て吐き出すようなため息をついた。
「ダメ元でデートぐらい誘えよ、骨は拾ってやるぜぇ」
「断られること前提すぎませんか！？」
「あ？早くしろよ」
「ア、ハイ」
恋の応援方法がおかしい半間さんが退いてくれないので、私は仕方なくテーブルの下へ潜り込んで頭をぶつけながら通路へ出た。
稀咲くんと場地さんからの憐れみの視線が辛い。
「あ、あの、稀咲くん」
「どうした？」
髪を整え、スカートも払い、キミが好きだという気持ちを詰め込んで前を見つめた。
緊張して高鳴る胸が苦しい。
「……今度、一緒に遊びに出かけない？」
「真面目に誘って珍しいな」
「え？」
「いつも家に勝手に押しかけてきてただろ」
そう言われてみれば、確かに…。
今までは好きな人とはいえ、相手は小学生だとどこかで考えていたのかもしれない。
すっかり私よりも背が高くなって青年へと近づいていく姿に、“好き”という気持ちだけでは足りなくなっているんだと気付いてしまった。
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もずく(プロフ) - あさん» 設定やセリフなど戸惑いなく読んでもらえるよう気をつけていたので、そう言っていただけて安心しました。全話一気読みお疲れ様です！稀咲夢を楽しんでもらえて凄く嬉しいです！コメントありがとうございます。 (2022年1月23日 21時) (
レス) id: 46c3a4c6cb (このIDを非表示/違反報告)
あ - 夢小説特有の変な設定やセリフがなくて好きです。読みやすいし、30分で全話読んでしまいました笑稀咲の夢小説は見たことがないです…斬新でいいですね！ (2022年1月23日 16時) (レス) @page37 id: 9fc44877f3 (このIDを非表示/違反報告)
もずく(プロフ) - 塩キャラメルさん» 楽しんでいただけて凄く嬉しいです！この小説を書き始めて本当によかったです。稀咲夢が増えることを願わずにいられません。距離感や夢主の性格などは特に気をつけて書いていた部分なので本当に嬉しいです。コメントありがとうございます！これからも更新頑張ります！ (2022年1月23日 11時) (レス) id: 46c3a4c6cb (このIDを非表示/違反報告)
塩キャラメル(プロフ) - 稀咲落ちの小説少なくて探してたんですが、とても面白い作品を見つけることができて見て良かったな、と思ってます。稀咲との距離がだんだん近付いていく感じとか、夢主ちゃんの性格もすごく好みで読むのが楽しかったです。体を壊さないように、更新頑張って下さい。 (2022年1月23日 9時) (レス) @page35 id: 28c0fa0ca6 (このIDを非表示/違反報告)
もずく(プロフ) - 香さん» 好きと言っていただけてとても嬉しいです！応援していただいていると思うと頑張れます。コメントありがとうございます！ (2022年1月22日 10時) (レス) id: 46c3a4c6cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もずく | 作成日時：2022年1月13日 0時
