002:死神 ページ4
002:死神
真夜中のお墓で故人に向かって告白をする私を不良さんは笑っていた。
だけどそれは馬鹿にしているような笑い方じゃなくて、なんと言ったらいいか…。
「稀咲が生きてたら、それ聞いてどんなツラしただろうなぁ」
嬉しそうだった。
お墓の前からどこうとすると、不良さんの大きな手が私の手首を捕まえた。指長いよ怖いよ助けて。
しかも手の甲に“罪”って書いてある。
なにこれ、怖い。すごい怖い！
その腕をたどって不良さんを見上げると、ようやくフードの下の顔を見ることができた。
ながーーい前髪で顔の左半分が隠されている、アンニュイな雰囲気の不良さん。もちろん知らない人だ。
だけどまるで仲間でも見つけたかのような、高揚感を隠し切れていない瞳が私のことを見ていた。
「あんま好かれるような奴じゃねぇけど、オレはアイツといるの楽しかったんだよ」
「……稀咲くんもきっとそう思ってますよ！」
「思ってねぇよ」
「そ、そうですか…」
不良の友情わからない。
否定する割にそれでいいと思ってそうなところがもっと分からない。
まあ、どちらにしろこの不良さんは稀咲くんのことを良く思っていたようで、私も嬉しくなった。
あの稀咲くんが不良をしているのは似合わないと思っていたけれど、案外そうでもなかったらしい。
亡くなってから二年経っても、お墓の前で座り込んで話しかけてくれる程仲のいい友達ができていたなんて、知らなかった。
地面に転がる数個のタバコの吸い殻を見て私は微笑み、不良さんを見上げた。
興味深そうに私を見ている不良さんは思ったよりも近い距離にいて、空いている方の手で私の腰に手を添えている。えっ、いつの間に。
チラリと見えた手の甲には“罰”の文字。
「オマエ、稀咲が生きててもフラれてただろうなぁ」
そして気づいた時には何故かもう身動きが取れなくて。
ふわりと感じた苦い香りと苦い一言に鼻の奥がツンと痛くなり、ぽろりと涙が落ちた。
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もずく(プロフ) - あさん» 設定やセリフなど戸惑いなく読んでもらえるよう気をつけていたので、そう言っていただけて安心しました。全話一気読みお疲れ様です！稀咲夢を楽しんでもらえて凄く嬉しいです！コメントありがとうございます。 (2022年1月23日 21時) (
レス) id: 46c3a4c6cb (このIDを非表示/違反報告)
あ - 夢小説特有の変な設定やセリフがなくて好きです。読みやすいし、30分で全話読んでしまいました笑稀咲の夢小説は見たことがないです…斬新でいいですね！ (2022年1月23日 16時) (レス) @page37 id: 9fc44877f3 (このIDを非表示/違反報告)
もずく(プロフ) - 塩キャラメルさん» 楽しんでいただけて凄く嬉しいです！この小説を書き始めて本当によかったです。稀咲夢が増えることを願わずにいられません。距離感や夢主の性格などは特に気をつけて書いていた部分なので本当に嬉しいです。コメントありがとうございます！これからも更新頑張ります！ (2022年1月23日 11時) (レス) id: 46c3a4c6cb (このIDを非表示/違反報告)
塩キャラメル(プロフ) - 稀咲落ちの小説少なくて探してたんですが、とても面白い作品を見つけることができて見て良かったな、と思ってます。稀咲との距離がだんだん近付いていく感じとか、夢主ちゃんの性格もすごく好みで読むのが楽しかったです。体を壊さないように、更新頑張って下さい。 (2022年1月23日 9時) (レス) @page35 id: 28c0fa0ca6 (このIDを非表示/違反報告)
もずく(プロフ) - 香さん» 好きと言っていただけてとても嬉しいです！応援していただいていると思うと頑張れます。コメントありがとうございます！ (2022年1月22日 10時) (レス) id: 46c3a4c6cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もずく | 作成日時：2022年1月13日 0時
