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…なんて、嘘嘘。
そっとその本音を回収して、また胸の内に入れておく。
…だって、これを聞いたらわたる先輩が…また"ごめんなさい"って言うから。
優しくて格好よくて大好きなわたる先輩に、そんなことは言わせない。
言わせたくない。
だから僕は、小さく息を吸ってまた本音を飲み込んだ。
…大丈夫、またあの時に…戻るだけだから。
僕は、産まれてこれただけで十分幸せなんだ。
ここまで…16歳になるまで生きられただけで、奇跡みたいなものだから。
だから…これ以上は望まない。
最後にそっとだけ衣装を撫ぜてから、未練を断ち切るようにパタンとクローゼットを閉めた。
『……〜♪』
ほっくんが金星杯で歌うためにって練習してた曲を、僕も口ずさむ。
ボイストレーニングなんてしたことない、下手くそな歌。
それでも、歌うのは楽しかった。
「…〜…………〜〜…♪」
『…え？』
ふと、何かが耳に届いた。
＿＿＿誰かの歌声
以前聞いた、わたる先輩のような洗練された歌声じゃない…決して綺麗じゃないような、まるで…泣き叫ぶみたいな、そんな＿＿＿
『……あ、れ…？なんで…』
気付けば、涙が零れていた。
痛くて怖くて、悔しくて……
理由は分からなかったけど、ただそんな感情が溢れて止まらなかった。
渉「Aくん、今日のお夕飯を…Aくん…？」
いつもみたいにお夕飯を持ってきてくれたわたる先輩が、慌てたみたいに駆け寄ってくる。
ぼろぼろと涙の止まらない僕を見て、何かを察したように口を噤んだ。
ゆっくりと背中で上下するわたる先輩の手が温かくて、優しくて…
僕は余計に泣いてしまった。
＿＿＿その日、とある人形を動かしていた細い細い糸が切れたのだと、僕は後から知ることになる。
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海月(プロフ) - 久々の更新とても嬉しいです！作者様のペースで大丈夫ですのでお身体に気をつけて更新していってくださいね！応援しております！ (12月12日 17時) (
レス) id: 35dd37fd2f (このIDを非表示/違反報告)
Lemon!?(プロフ) - 久々の投稿めちゃくちゃ嬉しいです！応援してます!! (12月12日 0時) (レス) @page35 id: 1d8fe9d267 (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - いちごみるくさん» 本当にお待たせしてしまって申し訳ないです…頑張ります！ (11月22日 17時) (レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - ハルさん» ありがとうございます！ゆっくりですが、よろしくお願いします！ (11月22日 17時) (レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
いちごみるく(プロフ) - 久しぶりの更新に大歓喜です！ありがとうございます！魚さんの書く小説本当に全部好きです！続き楽しみにしています！ (9月21日 18時) (レス) @page33 id: de7f25a96e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：魚
| 作成日時：2021年12月16日 20時
