↓ ページ30
はっ、とAが嘲笑する。
その笑いに、誰も息が出来なかった。
『…良くここまで俺を待っていたものですね。馬鹿馬鹿しい。毎年俺の命日にライブをして、法事まで。いつまで俺に縋りついているつもりなんでしょうね？俺はもう、王でも神でもなんでもないのに』
本当に、馬鹿馬鹿しい。
そう、Aが呟く。
…心底、苦々しげに。
『"ティアマト"、"神王"、"原始の母"、"王"、"陛下"、"主さま"、"将軍殿"、"ESの王"………全部、嫌いだ』
Aが吐き捨てる。
その言葉に、ほとんどの肩が動いた。
そりゃそうだよな〜
今までずっと呼んでた呼び方を、嫌いだって一蹴されたんだもんな〜
『だってどれもこれも、本当の俺を見てない。違いますか？"王"という名の仮面を被った道化師を、そう呼んで慕ってるだけ。そうでしょ？…EdenもKnightsも五奇人も……みんなみんな、俺の仲間じゃない。"臣下"だった』
はっ、とレイが顔をあげた。
またすぐに俯いて、その綺麗な手をきつく握りしめる。
…レイは、分かったのかもしれない。
自分が、最後のひと押しをしてしまった事を。
『でも、そんな中で…レオだけが俺の味方だった。レオと…泉だけが…俺を見てくれた。その事実だけで、俺は笑っていられた』
ありがとう、なんて笑うから、おれも笑い返す。
セナは、ぼろぼろ泣いていた。
『…王になんか、なりたくなかった。この手のひらに握れるだけの幸せがあれば、それで十分だったんです。責任なんか負いたくなかった。覚悟なんかこれっぽっちもなかったんですよ。ただ…もうそこしか道がなかったから』
自嘲するようにAが笑う。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 197人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
GurauGa(プロフ) - 最高に最高して最高でした。あの一気に前作から見たんですけどここまで完成されている心が打たれる作品に合うのがもう久しぶりすぎて涙が止まりません（➰〰➰）ﾉ王の安らかなる眠りを願います。 (2022年11月27日 2時) (
レス) @page34 id: 1e7013ed24 (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - 伊弉冉アリスさぶさん» ご愛読頂きましてありがとうございました！少しでも王の気持ちを知っていただけたのならば嬉しいです♪ (2021年11月3日 20時) (レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - るるるーさん» ご愛読頂きましてありがとうございました！アンケもありがとうございます！ (2021年11月3日 20時) (レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
伊弉冉アリスさぶ - 連続すみませんorz面白かったです！王になんてなりたくなかったのところで、偶像崇拝の瑞沢くんの最後を思い出し、本当の気持ちを抑えてでも皆の王でいたい、という気持ちが伝わり、それに気づいた時には鳥肌が立っていました…素晴らしい作品をありがとうございました (2021年11月1日 2時) (レス) @page29 id: c2abd4fe86 (このIDを非表示/違反報告)
伊弉冉アリスさぶ - 完結おめでとうございます〜！この作品が出来てから、『偶像祟拝をもう一度読まなければ……！』となり、夜遅いにもかかわらず1から最後まで読んでしまいましたw (2021年11月1日 1時) (レス) @page34 id: c2abd4fe86 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：魚
| 作成日時：2021年10月19日 12時
