アンの部屋(7) ページ49
「あああっエリスちゃん!大丈夫だったかい何処に行っていたのだい!?」
「心配したのよ?突然居なくなるから…」
私達の前に、エリスがにこにこと寄ってきた。
エリスが私に抱きつく。
「急に消えたらリンタロウが心配すると思って」
「そうだよ、心配したよぅ。泣くかと思ったよぅ」
「もう泣いてますよ」
エリスはさらっと酷い事を言った。
「そしたら泣かせたくなった」
「非道いよエリスちゃん!!でも可愛いから許す!」
エリスが中島さんを見た。
ぱっと笑顔になる。
「あ、あの時のお兄さん!」
「え?あ、あの時の…」
「あの時…?なんだねそれは」
「うずまきにケェキを食べに行った時に、たまたま会って」
エリスと中島さんが仲良く話をしている。
が、くるりとエリスは私の元へと駆け寄ってきて、抱っことせがんだ。
丁度、中島さんに着物の少女が抱きついていたから。
私は少し目を見開いたけれど、あまり表情は変わっていない筈。
「それでは、私達は失礼するよ」
「助言、ありがとうございました。それに、作戦も」
中島さんがぺこりと私にもお辞儀をした。
「そう云えばお医者さんなのですか」
「元医者だよ。今は小さな寄合の仕切屋中年さ」
「どんな困難な戦局でも、必ず理論的な最適解は有るわ」
「混乱して自棄になりそうな時ほど、それを忘れては不可ないよ」
私達は彼に手を振ってその場を後にした。
(…鏡花…矢張り、探偵社が……)
後ろで、鏡花が膝を付いたのが見えた。
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作者名:コレット | 作成日時:2018年8月4日 20時