甘さと苦さ ページ22
「中也!」
「ん?おぁ!ちょ、A!いきなりくっつくな!」
私は中也に抱き着いた。
中也と恋仲になってから、早2年。
つまり、太宰さんが居なくなってから4年が経とうとしていた。
その間に、私も中也も幹部として板についてきたし、部下も出来た。
「ねぇ、明日から任務で出掛けるんでしょ?」
「あぁ。敵組織の壊滅にな」
私はしょんぼりと眉を落とした。
あの時と、同じになるんじゃないかって。
そう思って。
そんな私を見て、中也は苦笑して私の頭を撫でた。
「大丈夫だ。俺は帰ってくる。ちゃんと、手前の隣に」
「…うん!」
中也は私に嘘をつかない。
だから、例えどれだけ時間が経とうと、待っていられる。
……一寸心配だけど。
私はそこまで考えて、気づいた。
私は、何時からこんなにも心配性で、甘えたがりになったのだろう。
マフィアの幹部になる時、1人で頑張ると、密かに決めたのに。
誰かに支えてもらって、頭を撫でてもらって。
それで漸く頑張れる。
……幹部が聞いて呆れる。
「……まだまだだな……」
「ん?何か言ったか?」
「ううん!何でも無いの」
中也は私の額に唇を落とすと、上機嫌で自室に戻っていった。
「行ってくる」
そう言って。
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作者名:コレット | 作成日時:2018年8月4日 20時