【文スト】星々の唄 (ページ11)

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外套と手袋（4）ページ11

太宰さんと中也の目が大きくなる。

「ひゃ！？」

「ふふ、愛いのぅ…私の事は姐さんと呼びや」

私はこくこくと頷いた。

姐さんは上機嫌で私を解放した。

太宰さんと部屋を出る時。

「A」

「はい？」

「午後、お茶をしようぞ。待っておる」

私はぱぁっと顔が綻んだのが分かった。

「はい！」

姐さんの部屋から出ると、太宰さんが何故か抱き締めてきた。

「あの…？」

「…私も頬にキスしていい？」

「駄目に決まってンだろ馬鹿か」

声の方を振り返ると、中也が不機嫌そうに立っていた。

太宰さんがあからさまに嫌そうな顔をする。

「何しに来たの蛞蝓」

「手前じゃねェよ青鯖。Aにだ」

ン。

と差し出されたのは黒い手袋。

よく見ると、中也もしていた。

「これ…中也の？」

「おう。もう入らねェから」

「うわ。うわ最悪」

「あ？ンだよ」

私は笑ってしまった。

中也も何故太宰さんがそう言ったのか判ったみたいで、ゲッと言っていた。

「A、手前、その外套…！」

「太宰さんも中也も、自分の物をくれるんだね」

太宰さんと中也がまた喧嘩してる。

長く黒い廊下に、私の笑い声と、2人の怒鳴り声が響いていた。