バッドエンド【rbr】 ページ9
rbrside
"俺"であるはずの体は、"童子切安綱"をからからと引きずりながら屋敷の中を彷徨う。
食堂、客室、主人居室、血塗れの部屋。
灯りの消えた暗い屋敷を歩き回る。
もう居ない4人を探して、何処だ何処だと呟きながら彷徨っとる。
もう二度と会えへん。
もう二度と戻れへん。
そう思うと涙が出そうになるけど、でも俺はそれを許してくれへんかった。
……こういう所が心無いって言われるんかなぁ。
もう誰も言ってくれへんけど。
はっ、と自嘲気味に笑う。
額から生えた2本の角に雑面に当たって変な感じがする。
角の根本は熱くてなんだか嫌な感じがする。
なんやろ、これ。
何もかもが分からんくなって、"俺"は思考するのを諦めた。
そのまま俺は呪いに体を預けてみる。
ケタケタと気味の悪い笑い声を出しながら、ただ屋敷内を徘徊する。
体は獲物を求めて徘徊を続けとる。
ああ、このまま死ぬ迄笑いながら徘徊するんやろか。
体力が無くなって動けなくなるその一瞬まで、ケタケタと笑いながら獲物を追い求め続けるんやろか。
それとも＿＿＿
有り得へん事を想像して、"俺"はまた自嘲気味に笑った。
『…誰か居ますか？』
キィィっと嫌な音を立てて扉が開かれる。
呪いは嬉しそうに正面入口前の大階段に向かった。
聞きなれた声。
……誰やったっけ？
ああ、もう記憶が混濁してきとる。
誰か、遠い記憶の中に愛しい人がおった気がする。
大階段の踊り場に立って獲物を視認した瞬間、"俺ら"は立ち止まった。
『ロボロさん…っ…！』
誰やったっけ、こいつ。
慌てて駆け寄ってくるとか、馬鹿ナノカこいつは。
俺の口がゆっくりと弧を描いていく。
『か…………っ………ぅぇっ………』
俺ノ手ニアル童子切安綱ガ女の腹を食い破ｯた。
女ハ口から血塊ヲ吐き出シて、地面に倒れ伏すス。
俺はソレを更ニ切ツケテ、面影モなくなッタところデ止メタ。
rbr「あは…っ………ハハハハハッ」
ケタケタ。
笑イ声ガ響イタ。
嗚呼、ナンテ楽シインダロウ！
死ヌコトスラ許サレズ、俺ハコノ屋敷ヲ彷徨ウ。
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作者名：魚
| 作成日時：2020年2月16日 18時
