バッドエンド【gr】 ページ24
emside
私はいつも籠る司書室に急いだ。
あ、書類忘れてた。
……………これは後や!
今はあの少女を救う手立てを考えなくては。
私の出身の村にも、あれと同じ句がある。
彼女の話では全く違ったけど。
私は司書室と図書館にある膨大な資料から、関連しそうな資料をこれでもかと引っ張り出してきた。
私の村に伝わるのはこれ。
【腕が氷で出来ている者は神聖な証。決して粗雑に扱ってはならない。その者はニュニホプラントの加護を授けられし者ゆえに】
1文目はそのまま彼女に当てはまる。
だからこそ、私は彼女なニュニホプラントの加護を授かった人なのだと思った。
でも、2文目でそれは全て覆される。
彼女は自分が忌み子だと言っていた。
ならこの2文目はどういう事だ?
何故同じものの事を言っているのに、正反対なのだろう。
他に何か有力な文献がないかを全力で探す。
彼女が善なのか、悪なのか。
前者だとしても後者だとしても、このままだといずれ氷が割れて彼女は死んでしまう。
あ、ちなみにニュニホプラントは水の大精霊のこと。
我々国の北には、精霊を信仰する村が多いから。
つまり、私の村も彼女の村も北にあるということ。
そして同じ句があるということは、隣接した村である可能性が高いということ。
だから、北の方の文献をずっと漁っているのだけど………全くと言っていいほど同じ内容しか出てこない。
em「氷の女 冷たい肌で誘うは 天国なりや 地獄なりや…………」
何度かこの文言を呟く。
…これが何かの鍵になっていると思うんだが…
なんだ…考えろ。
頭をがしがしとかいて、ルーズリーフに色々書き込んでは丸めて捨て、書いては捨てを繰り返した。
…次で最後の文献。
これでもいい情報がなかったら、地元に帰って漁ろうか。
そう思いながら文献を開ける。
けれど、めぼしい情報はやはり見つけられなかった。
何度も何度もあの文言を呟く。
絶対これに何かヒントがあるはずなんだ。
だから、私はまた文言を呟いた。
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作者名:魚 | 作成日時:2020年2月16日 18時