総統閣下と氷の女【gr】 (ページ4)

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tn「で？その子は？」

gr「買った」

トン氏が大きな溜息をついた。

でも今回のはちゃんとした仕事だから怒られる筋合いは無いゾ。

tn「………買っちゃったんならしゃあないかなぁ…」

トン氏が、俺のコートを着て部屋の隅で怯えたように蹲る少女の傍にしゃがみこんだ。

少女はビクッと肩を揺らしていた。

tn「ワイはトントンや。なんかあったら頼ってな」

と優しく微笑んで右手を差し出す。

少女は困ったように眉を下げ、左手を差し出した。

トン氏は不思議そうに小首を傾げたが、左手で少女の手を握った。

tn「で、グルさん。水不足の件やけど」

gr「エーミールに頼んでる」

tn「了解。じゃ、頼んだわ」

トン氏は少女の頭を撫でて総統室を出ていった。

お？

怒られなかった。

流石に少女がいる前で怒鳴るのは気が引けたのだろうか。

部屋には2人。

ふむ………

俺は椅子から立ち上がって少女を抱えた。

そのまままた椅子に座り、少女は俺の膝の上に乗せた。

少女は身を固くしている。

うぶだな。

コートを片手で脱がしていく。

謎の背徳感。

コートの内側＿＿右腕が触れていた所が凍り付いている。

gr「ふぅん……やっぱり右腕で触れた所は凍るのか。…………面白い」

少女の肩がぴくっと揺れた。

それに気付かず、俺は机の引き出しを探る。

…確かここらに……あ、あった。

俺が引っ張り出したのは首輪。

あ、勿論人間用だゾ。

首を傷付けないようにそれを少女に付けた。

再び謎の背徳感。

gr「名は？」

『…………ない』

gr「そうか…なら………お前は今日からAだ」

少女＿＿Aは、たった今与えられた名を口の中で反芻しているようだった。

俺はAの首輪と首の間に指を入れて自分の方に引き寄せた。

鼻と鼻がくっ付くくらいの距離。

深く澄んだ蒼色の瞳に、俺の赤い目が映る。

また自然と口が弧を描いた。

gr「お前は俺の所有物だからな？」

Aの怯えた瞳が、なんとも言えない感情を生み出した。