常連さんは幹部でした【os】

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がらがらと馬車の音が響く。

道は良くもなく悪くもない普通の道。

でもだんだんおしりが痛くなってくる。

………座布団欲しいめう。

そんな訳で、ф国に向かっているわけなんやけど、暇や。

…なんかさ、暇や！しか言ってへん気ぃするんやけど…気の所為？

ф国は友好国やから、普段は連れてくる他の外交官やら護衛の幹部やらは連れてこなかった。

邪魔やし。

ので、御者と俺だけ。

トントンには危機感がどうたらって言われたけど、友好国に大勢連れて行くのも、それはそれで無礼やろ。

信用してませーんって公言しとるようなもんやし、それでこの関係が崩れるのは頂けへんわ。

口寂しくなって、持ってきた袋を開けてビスコッティを口に放り込む。

さくさく、さくさくと軽やかな音がひびき始めた。

今回のこれも新作らしいで。

外交に行くんやでって言ったらさ。



《そうなんです？じゃあ、旅のお供にこれでも持っていってください。ナッツとチョコのビスコッティなんですけど…日持ちもしますから！》



やって。

ビスコッティは紅茶にも珈琲にも合うから、大好きなお菓子の上位におる。

しかも普通のビスコッティと違って、少し小さめに作ったらしくて、荷物にもならへん。

天才やで。

はーー…好き。

なんか、最初はケーキとか紅茶とかの話するのが好きで、Aさん自身に興味はあんまなかったんやけどさ。

あー、あのケーキが食べたいなとか。

この紅茶は好きなんかなとか。

普段考えてる事の延長線上にAさんがいつもおって、彼女を考えとるだけで幸せになる俺がおってさ。

恋かなぁ、恋かも知れへんなぁ、なんてぐるぐる考える馬鹿ちゃうからさくっと認めるで。

俺はAさんが好きや。

Aさんが作るケーキも、Aさんがいれる紅茶も。
あー…はやく帰ってAさんのケーキ食べたい









＿＿＿と思ったところで、馬車が大きく揺れて、停車した。

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