常連さんは幹部でした【os】

↓ ページ11

トントンの前の茶器からいい匂いが漂ってきた。



os「あ、そろそろいいめう」

tn「開けていいん？」

os「めう！召し上がれ」



トントンがそっと茶器の蓋を開けると、漂ってくるのは薔薇の匂い。



tn「うわ！なんやこれ！」



茶器の中に堂々と花弁を広げるのは真っ赤な薔薇。

それに伴って、お湯もほんのりと赤く染まっていた。



os「東洋のお茶で、花茶って言うんよ。綺麗やろ？」

gr「何！？花茶やと！？」



グルッペンがガタッと立ち上がった。

花茶は中々手に入らん代物や。

ここが東洋から遠いっていうのもあるし、中々生産されてへんってのもある。

それにこれは花茶の中でも知られてない種類で、薔薇茶って言うめう。

たまたまこの間知り合いの東洋商家に行きあって、安く買えた。

安いって言っても、普通に高いで。



os「グルッペンは書類終わってないから駄目」

gr「………………オス美…」

os「駄目」



むすっと頬を膨らませてもあかん。

駄目。

グルッペンからトントンに目線を戻すと、わたわたとしているトントンがおった。

…なにやってんのこの人。



tn「こ、これ、花も飲むやつ！？」

os「飲めへんから。花を避けてお茶だけ飲むんよ」



恐る恐る茶器をもって、ゆっくり口付けるトントンを微笑ましく見詰める。

そういや俺も最初あんな感じやったなぁ…
懐かし。

トントンが薔薇茶を飲んどる間に、グルッペンがノルマを終わらせたらしい。



os「で？なんの用なん？」

gr「…………俺の花茶は？」

os「用件聞いてからな」

gr「ああ、外交に行って欲しくてな。ф国なんだが」



ф国ね。

結構前から友好国やし、護衛も少なくて良さそうやな。

友好国の外交って楽でええわ！

でもなぁ…ф国遠いからな。



os「ま、ええよ。任せとき」

gr「頼んだ。俺の花茶！」

os「はいはい」



グルッペンにも花茶をいれてやる。

わくわくと嬉しそうに体を揺らすグルッペンは、まさに5歳児。

ぐるっぺんくん(5)

トントンはまだ飲んでたらしくて、ひとくち飲む事にほーーっと息をついとった。

長らくこの2人とおるけど、なんだかんだ言って3人でおる時間が1番安心するのは、なんでやろうね。

（6）→←（5）

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す