詐欺にはご注意を！【ci】

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ci「…今日は遅いんやな」



時計を見てふと、そんなことを考えた。

いつもだいたいこの時間に来るのに、今日は30分経っても来ない。

ま、いっか。

Aが来ないと暇やから、1人でぐだぐだ出来るし！

あ、珈琲淹れてくれば良かった。

Aは珈琲好きなんかな。

いやぁ…苦手そうやなぁ…

………………おい待て。



ci「俺…Aの事ずっと考えてへん？」



いつの間にかAがおるのが日常になってる事に、今気付いた。

しかもさっきみたいに、何しててもAの事考えてる。

書類やってても、Aは書類仕事得意なんかな、とか。

鍛錬してても、Aは今何してんねやろ、とか。

最初は、なんやこの女馬鹿やんって思って、何とも思ってなかったのに。

今では、心配で心配で、今こうしてる間にも詐欺にあってるんちゃうか、とか考えて。

俺が守ってやらなあかんな、って思ってる。

…なんやこれ庇護欲？

でもAのことを気になってるのは事実やろな。

ふにゃって笑うの可愛いし。

こんなに考えてしまってるし。

………………確定恋やんこんなの。

えー？

あんな脳内お花畑な女を好きになったん？

俺。

…お姉様検定3級なのに？

ええー？と自分に呆れながらまた机に突っ伏した。



tn「チーノ」

ci「書類？」

tn「せや」



トントンさんが書類片手に入ってきた。

こうやって暇な時間に毎回来るんやで？

ある種いじめやろ！

ぐだぐださせろ！

もしくは珈琲ちょうだい！



tn「チーノお前、最近楽しそうやなぁ」



唐突にそう言われて、書類に落としていた目線をトントンさんに向けた。

トントンさんは俺の前にある椅子に座って、頬杖をついて微笑んでた。

……やめろ惚れるやろ。

そういうのは女にやってや！



tn「この間までは、中の見えへんガラス玉みたいな…そんなよおわからん笑顔やったのに。なんか最近はめっちゃ純粋にこの生活楽しんでんなぁって」



くすくすと目を細めて笑いかけてくる。



tn「お前が楽しいと思えることを見つけられて、ワイは嬉しいわ」



ふと、過去にトントンさんとした会話を思い出した。

俺が今まで忘れてた会話。

…なんやそれ。

もう5年くらい前の話やぞ？

なんで覚えてんねん。



tn「俺の大切な後輩を更生させてくれてありがとうって言いにいかなあかんなw」



じゃ、書類よろしく。と言い残してトントンさんは帰っていった。

俺の頭は、しばらくフリーズしてた。

昔の自分を思い出しながら。

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