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途端、空気がピリッとする。
彼女が大きな音を立てて、椅子を蹴立てた。
風なんて吹いていないのに、Aさんの髪がゆらりゆらりと揺れる。
『…………………だからなんだ。貴様も私を殺すのか？他の奴らと同じように…！』
彼女から圧が膨れ上がった。
それに押し出されるように、Aさんの目を覆う包帯が取れる。
包帯はひらりと揺れながら床に落ちた。
私は、動けなかった。
彼女の、虹の瞳に絡め取られて。
普段ならば綺麗であろう瞳は、今や怒りに塗れている。
私は慌てた。
em「こ、殺すだなんて…！私はむしろ貴女と共に生きたい…！！」
『…そのような戯言…誰にでも言えるだろう…！』
em「と、とにかく聞いてください！」
私は慌てて先程持ってきた本を見せた。
確かこの本の……402ページの…ここだ！
em「これ！ここ見てください！！」
Aさんが圧をほんの少しだけ緩めて近付いてきた。
虹の瞳を細めて、文字の羅列を追う。
確かここには、麒麟がどういったものなのかがざっくりと書いてあったはず。
悪いことよりも、世界に平和をもたらす存在だと書いてある。
だから、私は大興奮したんだ。
その麒麟が傍にいるのか、と。
『…これは、信用の出来る本なのだろうな』
em「勿論です」
じっと見詰められる。
ごくりと生唾を飲み込んで待つ。
ふっと圧が消えた。
諦めたような笑みを浮かべられて、私は少し驚いた。
『…お前はもういい…諦めたよ。探してくれてありがとう』
em「え…お…怒ってないですか…？」
『怒るわけないだろう？これをお前が探してくれた時点で、お前は白だろうし』
これで黒だったら私は死ぬけどな、と笑った。
包帯は何故か外していた。
em「あの…包帯は…いいんですか？」
『ん？だってエーミールは私の味方なんだろう？敵しかいないと思っていたから付けていただけだし。お前が味方なら、包帯など要らないだろう？』
他のやつが来たらフードを被ればいい、と言って、また私がいれた紅茶を口に含んでいた。
それになんだか安心して、嬉しくなった。
私も彼女の向かいに腰を下ろして、紅茶を飲む。
今日もいい感じに美味しい。
今度オスマンさんにでもクッキーも貰ってこよう。
きっとAさんは気に入ってくれる。
私達は、しばらく麒麟について談笑した。
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魚(プロフ) - miiさん» はう...！ありがとうございます…！ (2020年10月26日 16時) (
レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
mii(プロフ) - 私がこの世界に入り、最初に見た作品が魚さんの作品でした！とても面白く、今でも大好きです！この話が完結したら活動休止するのはさみしいですが、これからも頑張って下さい！ (2020年10月23日 16時) (レス) id: fea92a175e (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - 麻痺さん» ありがとうございます！今しばらくお待ちください… (2020年8月23日 21時) (レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
麻痺 - 好きすぎる！更新楽しみに待ってますー！ (2020年8月22日 2時) (レス) id: dce11f68c6 (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - アカツキさん» ありがとうございます〜！ (2020年7月7日 7時) (レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：魚
| 作成日時：2020年2月17日 9時
