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Aside
前略、我が弟。
お山が燃えました。
ちりちりと燃えゆく家や木に、酷く心が痛んだ。
ああ…燃えていく。
あの子との思い出が消えていく。
私の隠れ家が消えていく。
完全に消滅していく家をずっと眺めた。
ぱちぱちと爆ぜながら天に登っていく火の粉の音を聞いていた。
？「姉ちゃん！」
懐かしい声がして、振り返った。
その声は黄緑色のパーカーのフードを深く被り、焦ったように駆け寄ってくる我が弟のもので。
『…ゾム』
zm「ここにおったら姉ちゃんも死んでまう！掴まっとれ！」
膝裏を掬われて抱き上げられる。
そのまま猛スピードで木々の間を抜けていくんだから、我が弟は凄い。
あっという間に山の麓までおりて、砂の上に立たせてくれた。
私は目を包帯で隠しているから、見えないけれど、植物達が泣く声が聞こえる。
ああ…泣かないで…
痛いなよ…熱いよな…苦しいよな…
泣き出しそうになった私の耳をゾムが押さえた。
まるで聞くなとでも言いたげに。
しばらくそうしていて、ゾムが手を離した。
zm「姉ちゃん、これからどこ住むん」
『………ないな、住む所』
目が見えない状態で1人は結構辛い。
かと言ってゾムは軍人だから、彼に頼るのもなんだか気が引ける。
では他にどこに行けば私は生きられるだろうか。
zm「住むとこないんやったらさ、俺が今住んでるとこくればええよ！」
『いやしかし…ゾムに迷惑じゃ…』
zm「そんな訳ないやん！こっからちょっと遠いけど、行く？」
上の方から降ってきた声に小さく頷く。
私がゾムといた時は私よりも少し下から声が聞こえてきていたはずなんだがな…
そんなに長い時間が私達の間に流れていたのだろうか。
ゾムはまた膝裏に腕を差し込んで、私を横抱きにした。
落ちぬようにとゾムの首に腕を巻き付け、懐かしい彼の匂いを鼻に流す。
擽ったそうにゾムは笑って、また駆け出した。
この時の私はまだ、自分が本当はどんな存在なのかを知らなかった。
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魚(プロフ) - miiさん» はう...！ありがとうございます…！ (2020年10月26日 16時) (
レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
mii(プロフ) - 私がこの世界に入り、最初に見た作品が魚さんの作品でした！とても面白く、今でも大好きです！この話が完結したら活動休止するのはさみしいですが、これからも頑張って下さい！ (2020年10月23日 16時) (レス) id: fea92a175e (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - 麻痺さん» ありがとうございます！今しばらくお待ちください… (2020年8月23日 21時) (レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
麻痺 - 好きすぎる！更新楽しみに待ってますー！ (2020年8月22日 2時) (レス) id: dce11f68c6 (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - アカツキさん» ありがとうございます〜！ (2020年7月7日 7時) (レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：魚
| 作成日時：2020年2月17日 9時
