【募集企画】東方幻想記録物語 28巻 (ページ15)

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立ち続ける理由 Ⅱ　照輝ページ15

―――全てが絶望的だ。
絶望的に開いた能力差、絶望的に遠い勝ち筋。普通の人間であれば、心がぽっきり折れてしまうことだろう。
だが。
だが、しかし。
このヒーローを目指す少年は、日彩木照輝は、それでも前を見据えて立っていた。どうしようもない程の強敵の前にあっても光を失わない紫紺の瞳は、その名に恥じない輝きを放っていた。
照輝の脳裏にあるのは、一つの言葉。

『―――戦う理由を見つけなさい』

三日、照輝は考えていた。自分は何のために戦っているのか。何のために前を向くのか。自らを突き動かす原動力、即ち信念とは何なのか。
気付いてしまえば、あまりにも簡単な話だ。
照輝はみんな助ける(・・・・・・)ことが全ての源なのだ。その為に前を向き、戦っているのだ。
もし大切な人同士が敵だったならば、たとえ二人とも敵に回そうと二人とも救ってみせよう。もし悪人なき争いがあったならば、自分が悪人になろうと全員助けてみせよう。それが、照輝の信じるヒーローなのだ。英雄でも救世主でもなく、決して完璧ではないけれど、絶対にみんなを救ってみせるヒーローなのだ。
それは、アメリカン・コミックスの主人公のように。或いは、在りし日に出会った誰かのように。
―――故に。

「夢魅埜舞依！僕には戦う理由がある！だから、こんなところで折れてなんてやるもんか！」

照輝は、舞依を真っ直ぐに睨み返してやる。

「僕はみんなを救うヒーローなんだ。それは僕にとって絶対(・・)なんだ。その『らすとわーど』とやらを引き出さないと勝てないのなら、引き出せるまで僕は絶対に下を向かない！」

ピコピコハンマーの先を舞依に向けて、これでお前を倒すのだと突きつけながら言い放ってやる。

「―――お前が僕に負けるまで、うんざりするくらい足掻いてやるんだぞ！」