【募集企画】東方幻想記録物語 28巻 (ページ12)

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回想録:戦う理由幽香ページ12

―異変数日前、幽香の家―
剣城たちは幽香の家で、照輝を迎え3人でお泊り会をしていた。

「照輝、一つ聞きたいことが有るの。」
「ん？何だ剣城？」

剣城が風呂に行っている間、幽香が徐に聞いた。

「ちょっと気になったんだけど、照輝のなりたいもの…理想のヒーローって一体どういうのを目指してるの？」
「…どういうの…って？」
「ほら、一口にヒーローって言っても色々なタイプあるじゃない。仮面〇イダーだったり戦隊だったり、あとはヒ〇アカね。」
「…なるほど…」

容易に想像がつく。3つとも全く違うようなタイプのヒーローである。

「まあ、つまりはどういうヒーローになりたいのかなってね。」
「それはモチロン…かっこいいヒーローなんだぞ！カンペキじゃなくても、脆くても、最後にはゼッタイ勝つような、そんなヒーローなんだぞ！」
「なるほど…」

名前に恥じないような輝く笑顔を見せながら語る照輝。
―が、幽香は冷静な顔のまま言った。

「照輝、一つ良いかしら？」
「どうした幽香？」
「…勝つって、アンタは何と戦って、それで勝つつもりなの？」
「え…そりゃあ、目の前の敵(ヴィラン)にだよ！」
「敵…ね…。」

幽香はこれを聞いて、とある言葉を思い出した。

「"理由なき強さほど、危ういものはない"…。」
「え？」

とあるゲーム(ARMORED CORE 6)の名言に続けて、幽香は彼に冷酷な質問を突きつけた。

「…一つ聞くわ。あなたの友達、そしてあなたの親…もしも二人が双方敵同士だったら、アンタは一体どっちの味方に付く？」
「…え…？それはモチロン…」
「両方なんて答えは無いわ。"どっち"…と聞いたからね。」
「えっと…それは…。」

照輝には、どちらを選べば良いのか分からず、静寂が2人を包んだ。

「…この世界では、正義や悪で片付けられない事がある。戦争も一緒よ。互いが正義で、互いが悪だったわ。」
「…でも…でも…！」
「ええ、この選択、完全なる正解なんて存在しないわ。でも一つだけ…。」

幽香は照輝に向き合い顔を近づけ、そして言った。

「どんなに冷酷な選択でも、あんたの信じるもの…その為に戦いなさい。それが一つの"戦う理由"よ。」
「…信じるもの…。」
「…剣城は、"大好きな幻想郷を、そして自分の周りの者を守る為"。そうした確固たる理由があるわ。もっとも、これには彼の過去が関係しているのだけどね。」
「…アイツの過去…？」
「そうね。ついでに話しておこうかしら？彼がこの世界に来る前までの事を。」