自.傷.少.女【歌い手】

27:夢 ページ28

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「明日も来るからね！」

『そんな、休暇なんだからゆっくりしなよ。』

「やだねー！脱走しないように見張んなきゃ！」

そんな事しないのになぁ……

勢い良く扉を閉めると部屋には静寂が響く。

なんと暇だろう。

外を眺めてた。

ちょうど空は夕焼け色で。

綺麗な茜色、緋色でも赤色でもない暖かい色。


今は傷の痛みで動けず、ベットで寝ることしか出来なかった。





それから何度か彼女は来てくれた。

林檎や色々お見舞い品に。

話も色々してくれた。

そんな日々を繰り返しているうちに体の調子は段々と良くなり、

退院も近くなってきた夜。

いつもと何の変哲もない日常だった。

ちょと変わった夢を見た。


誰か分かんない。

でも響いた声が鼓膜を離れない。


なっちゃんでもない。私の声でもない。

誰、誰の声?

思い出せない！


でも、聞いた覚えはどこかあった。

分からなかった。

でも、かすかに声以外の音も聞こえた。

何かを叩く音。

怒鳴り声らしき大声。



−私がこんなんだから−

−きっとそのせい−



『っ………!!』

嫌な夢、しかも最後の声は………。


変に冷や汗が流れる。

暗闇の中、手探りで近くに置いてあるコップを手に取り水を一気に飲み込む。

ぬるいなぁ。

おいしくない。

それでも近くにある水分はこれしかない無い。
我慢して飲み込む。


明日も彼女は来るだろうか。

来たらこの夢のことを試しに話してみよう。

きっと損は無いよね。

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