ページ ページ23
「……きみと一緒ってわけじゃないと思うけどね。身体ばっかでっかくなって、中身がそれについていってないっていう意味だろうから」
「阿良々木は男性に対してかなり失礼なことを言うな。これでもおれ、クラスではかなり発育のいい方だぞ」
「確かに、なかなか立派な腹筋をしていたな」
「はっ!? 触ったのか!? いつ触った!?」
仰天した顔で眼を剥く浦田くん。
しまった、口が滑っちゃった。
「えっと……取っ組み合いしたとき」
「殴られたことよりショックだ！」
浦田くんは頭を抱えた。
本当にショックらしい。
「いや……別にわざとじゃないし、一瞬だけだし」
「一瞬っ！？ 本当に本当かっ!?」
「ああ。三回くらいしか触れていない」
「一瞬じゃないし、それ、二回目からはあきらかにわざとだっ」
「言いがかりだって。不幸な事故だったんだ」
「ファーストタッチを奪われてしまった！」
「ファーストタッチ……？」
最近はそんな言葉があるのか。
小学生は進んでいるなあ。
「ファーストキスよりファーストタッチの方が先なんて……浦田渉は、いやらしい男の子になってしまったっ」
「あ、そうだ、浦田くん。そう言えばすっかり忘れてたね、約束通り、お小遣いをあげよう」
「このタイミングで言うなっ！」
頭を抱えたまま、服の中にアシナガバチでも入ったかのように、浦田くんは身体中という身体中を悶えさせていた。
哀れだった。
「まあまあ、そう落ち込まないでよ。ファーストキスがお父さんだったとかよりは、まだマシだって」
「ものすごく普通のエピソードだっ」
「じゃあ、そうだな、ファーストキスが鏡に映った自分だったとかよりは、まだマシだって」
「そんな男の子、この世にいねえっ」
うん。
あの世にもいないだろう。
「がうっ」
ようやく頭から手を離したかと思うと、浦田くんはそのまま、私の喉元に向かって、噛みついてきた。春休み、吸血鬼に咬みつかれたのと同じ位置だったので、背筋が凍る。なんとか浦田くんの両肩を押さえ、事なきを得る。
「がうっがうっがうっ」と、威嚇するように音を立てて、歯を噛み合わせる浦田くん。なんか昔のゲームにこんな敵キャラがいたなあと思いながら(鎖に繋がれた鉄球みたいな奴)、なんとか、私は浦田くんをなだめる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 26人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
灰猫(プロフ) - 紅茶さん» 紅茶さんコメントありがとうございます！お返事遅くなってしまい申し訳ありません(＞＜) Twitterですが、アカウントを作り次第わたるマイマイ其の参の方にリンクを貼らせて貰いますのでもう少々お待ちくださいませ！！ (2020年4月28日 0時) (
レス) id: cd0e1b19a2 (このIDを非表示/違反報告)
紅茶(プロフ) - Twitter教えていただきたいです！都合上いいねとフォローしかできませんがそれで良ければお願いします！ (2020年4月4日 19時) (レス) id: 8fbf982787 (このIDを非表示/違反報告)
灰猫(プロフ) - しのみやさん» しのみやさんコメントありがとうございます！これからも是非楽しく読んでやって下さい(*^ ^*) (2020年3月31日 23時) (レス) id: 06fe930ba8 (このIDを非表示/違反報告)
しのみや - 化物語も歌い手さんも好きなのでとても楽しく見させてもらってます！ (2020年3月31日 18時) (レス) id: 5d97f4e4ba (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：灰猫 | 作成日時：2020年3月29日 14時
