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「ところでAさん。こんなところで、一体全体、何をしているの? 僕が休んでいる間に学校を退学にでもなってしまったのかな。家族にはそんなこと話せないから、学校に通っている振りをして、公園で時間を潰しているとか……だとすれば、僕の恐れていた事態がついに、といった感じだよ」

「リストラされたお父さんじゃんか、それ……」


それに今日は日曜日だ。
母の日だっての。

そう言いそうになって、すんでのところで、思い止まる。相川は、事情あって母子家庭なのだが、母親については、ちょっとしたややこしい事情を抱えている。そういうことに対してあまり気を遣い過ぎるのもかえってよくないだろうが、かといって、無闇に振っていい話でもないだろう。母の日というのは、一応、相川に対しては、禁句にしておこう。

私だって__


「別に。暇潰し」

「何をしているのかと訊かれて暇潰しと答える女は甲斐性なしという噂を聞いたことがあるよ。まあ、Aさんには関係ない話であって欲しいけれど」

「……ちょっとした、ツーリングだよ」


自転車でだけどな、と付け加えた。

それを聞いて、相川は「ふうん」と頷き、公園の入り口の方を、一回、振り向いた。その方向には、駐輪場がある。


「じゃあ、あの自転車、蒼音ちゃんのだったんだね」

「ん? ああ」

「フレームは酸化鉄でコーティングしているのじゃないかってくらいに錆びていたし、チェーンも切れて外れていて、サドルと前輪が無くなっていたけれど、そう、あんなになっても自転車って動くものなんだね」

「それじゃねえ!」


それは放置自転車だ。


「そういうのがあった二台他に、もう一台、格好いい奴があっただろ! 赤い奴! それが私のだ!」

「ん…ああ。あのマウンテンバイク」

「そうそう」

「MTB」

「まあ……そうだね」

「MIB」

「それは違う」

「ふうん。あれ、Aさんのだったんだ。でも、そうなるとおかしいね。前に、僕が後ろに乗っけてもらった自転車とは随分造形が違うみたいだけれど」

「あれは通学用。プライベートでママチャリなんて乗れるわけねーだろ」

「なるほどね。Aさん、高校生だもんね」


ふむふむと、頷く相川。

お前も高校生なのだが。

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名無し16825号(プロフ) - ありがとうございます!これからも楽しみに待たせていただきます! (2020年3月28日 9時) (レス) id: 8fbf982787 (このIDを非表示/違反報告)
灰猫(プロフ) - 名無し16825号さんコメントありがとうございます!そう言っていただけてとても光栄です!この二人が付き合うかどうか等も今後の更新で分かりますので、ゆっくりですが今後も気長に更新を待っていただけると嬉しいです! (2020年3月28日 5時) (レス) id: 06fe930ba8 (このIDを非表示/違反報告)
名無し16825号(プロフ) - ところでこの二人付き合うんでしょうか?(( (2020年3月27日 22時) (レス) id: 8fbf982787 (このIDを非表示/違反報告)
名無し16825号(プロフ) - すごく続きが気になります!面白かったです更新頑張ってください! (2020年3月27日 22時) (レス) id: 8fbf982787 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:灰猫 | 作成日時:2020年3月26日 1時

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