検索窓
今日:8 hit、昨日:0 hit、合計:12,673 hit

ページ ページ40

子供の直感で相川を嫌っているにしても、限度があるだろう。いくら相川だって、別に鋼鉄でできているわけじゃないのだから、そんなあからさまに避けられたら、さすがに傷ついてしまうのではないだろうか。

まあ、そういう、私の思う相川への気遣いのようなものを差し引いても、道義的に、浦田くんが相川に対して取っている態度は、正しいとは言えないと思った。


「そう言われると言葉もないな……」


意外なことに、しおらしくしゅんとする浦田くん。


それから、声を潜めて、続ける。


「けど、阿良々木は感じねえか」

「何を」

「あいつから発せられる凶暴な悪意を……」

「………………」


どうやら、直感以上のもののようだった。

それは否定できないのがつらいところだった。


「どうも、嫌われてるみたいだ……邪魔だ、どこかに消えろという強い意思を感じる……」

「邪魔だ、どこかに消えろだなんて、さすがにそこまでは思っていないと思うけど……うーん」


よし。

ちょっと怖いが、訊いてみよう。

私にとってはわかりきったことではあるが、どうやら、きちんと確認しておく必要がありそうだ。


「ねえ、相川」

「何」


相変わらず振り向きもしない。

邪魔だ消えろと思われているのは、案外、私なのかもしれなかった。

お互いに友達だと思っているはずのに、どうしてこんなに仲良くできないのか、不思議だった。


「お前って、子供、嫌いなの?」

「嫌いだね。大嫌い。一人残らず死ねばいいのに」


容赦なかった。

浦田くんが「ひっ」と身を縮めるようにする。


「どう接していいのか、全くわからないもの。中学生のときだったかな。デパートで買い物をしていたら、僕、七歳くらいの子供に、ぶつかってしまったの」

「あー、それで泣かれちゃったとか?」

「いや、そうじゃなくてね。僕、そのとき、その七歳くらいの子供に対して、こう言っちゃったんだよ。『大丈夫ですか、怪我はありませんか、ごめんなさい、申し訳ありません』って」

「……………」

「子供相手にどうしていいのかわからなくなって、気が動転してしまってね。だけど、だからって、僕があんなに、下手に出てしまうなんて……それが僕はショックでショックで……以来、子供と呼ばれるものは、人間であれ何であれ、憎しみをもって向かうように、心がけているよ」


八つ当たりに近かった。

理屈はわかるが、気持ちがわからない。

次ページ→←前ページ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (21 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
25人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

名無し16825号(プロフ) - ありがとうございます!これからも楽しみに待たせていただきます! (2020年3月28日 9時) (レス) id: 8fbf982787 (このIDを非表示/違反報告)
灰猫(プロフ) - 名無し16825号さんコメントありがとうございます!そう言っていただけてとても光栄です!この二人が付き合うかどうか等も今後の更新で分かりますので、ゆっくりですが今後も気長に更新を待っていただけると嬉しいです! (2020年3月28日 5時) (レス) id: 06fe930ba8 (このIDを非表示/違反報告)
名無し16825号(プロフ) - ところでこの二人付き合うんでしょうか?(( (2020年3月27日 22時) (レス) id: 8fbf982787 (このIDを非表示/違反報告)
名無し16825号(プロフ) - すごく続きが気になります!面白かったです更新頑張ってください! (2020年3月27日 22時) (レス) id: 8fbf982787 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:灰猫 | 作成日時:2020年3月26日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。