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「バスガス爆発、バスガス爆発、バスガス爆発」
言えちゃった。
「夢を食べる動物はっ?」
間髪いれず、浦田くんが言う。
いつの間にか十回クイズになっていた。
「……バク?」
「ぶぶー。外れだっ」
したり顔で言う浦田くん。
「夢を食べる動物。それは……」
そしてにやりと不適に笑って。
「……人間だよ」
「うまいこと言ってんじゃねぇよ!」
必要以上に大声で怒鳴りつけてしまったのは、本当にうまいと、不覚にも思ってしまったから。
ともかく。
閑静な住宅街、とでも言うのだろう。
歩いていて、人間とすれ違うことがない。
出掛けるべき人は朝の内に出掛けてしまっていて、出掛けない人は一日中家にいる__そういう場所らしい。まあ、その辺りは、私の住んでいる場所も、こことそう変わらないけれど、違うのは、この辺には、やけに大きな家が多いという点だろう。お金持ちばかりが住んでいるということか。
そういえば、相川の母親も、外資系の企業のお偉いさんということだった。ここに住んでいるのは、そういう人間ばかりなのだろう。
外資系の企業ね……。
こんな片田舎じゃ、ぴんとこない言葉だけれど。
「ねえ、Aちゃん」
久し振りに、相川が声を発した。
「もう一度、住所、教えてくれる?」
「ん? いいけど。この辺なの?」
「と、いうか、なんというか」
微妙な物言いの相川。
わけのわからないまま、メモを再度読み上げる私。
ふむ、と頷く相川。
「どうも、行き過ぎてしまったようだね」
「え? そうなの?」
「そうみたい」
相川は落ち着いた口調で言う。
「責めたければ好きなだけ責めなよ」
「……いや、この程度のことで責めたりしないよ」
なんだその開き直り方……。
潔過ぎてかえって往生際が悪い。
「そう」
焦りを見せない涼しい顔で、来た道を折り返す相川__その相川を避けるように、私を中心として、対称的な動きを見せる浦田くん。
「……きみ、なんであそこまで相川のこと、ビビってんの? あいつ別にきみに何もしてないじゃん。ていうか、一見わかりにくいけど、案内をしてくれるのは、私じゃなくてあいつなんだよ?」
私もついていっているだけだ。
偉そうなことを言える立場では、実にない。
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名無し16825号(プロフ) - ありがとうございます!これからも楽しみに待たせていただきます! (2020年3月28日 9時) (レス) id: 8fbf982787 (このIDを非表示/違反報告)
灰猫(プロフ) - 名無し16825号さんコメントありがとうございます!そう言っていただけてとても光栄です!この二人が付き合うかどうか等も今後の更新で分かりますので、ゆっくりですが今後も気長に更新を待っていただけると嬉しいです! (2020年3月28日 5時) (レス) id: 06fe930ba8 (このIDを非表示/違反報告)
名無し16825号(プロフ) - ところでこの二人付き合うんでしょうか?(( (2020年3月27日 22時) (レス) id: 8fbf982787 (このIDを非表示/違反報告)
名無し16825号(プロフ) - すごく続きが気になります!面白かったです更新頑張ってください! (2020年3月27日 22時) (レス) id: 8fbf982787 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灰猫 | 作成日時:2020年3月26日 1時