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「その住所には、高橋さんって人が住んでる」

「高橋? なんかありきたりな苗字だね?」

「立派な苗字だろっ!」


何故か立腹した風に、浦田くんは言った。

知り合いの名前をそんな風に言われたら、気分を悪くするのはわかるけど、そんな怒鳴りつけるようなことでもないだろうに。情緒不安定というか、なんというか。


「ふうん……で、どういう知り合いなの?」

「親戚だ」

「親戚ね」


つまり、日曜日を利用して、親しくしている親戚の家に、一人で遊びに行く途中ということなのだろうか。よっぽど放任主義の親なのか、それとも、浦田くんがこっそり、親の目を盗んで勝手にここまで来たのか、それはわからないが__決意むなしく、休日の一人旅という小学生の冒険も、中途破綻ということらしい。


「仲のいい従兄弟でもいるの? そのリュックサックから見ると、結構な遠出なんでしょ? 全く、そんなものゴールデンウィークにでも済ませておきなよ。それとも今日でなきゃ駄目な理由でもあるの?」

「そんなところだ」

「母の日くらい、家で親孝行していればいいのに」


それは。

私が言っていいことではないけど。

__姉ちゃんは、そんなことだから。

そんなことだから__何が悪いというのだ。


「阿良々木に言われたくはねえよっ」

「いや、きみが何を知ってるんだよ!」

「なんとなくだっ」

「…………」


理屈ではなく、単純に私から説教じみたことを言われるのが、生理的に嫌だということのようだった。

酷い。


「阿良々木こそ、あんなところで何してたんだよ。日曜日の朝から公園のベンチでぼーっとしているなんて、まともな人間のやることとは思えねえけど」

「別に。ただの__」


暇潰しと言いそうになって、寸前で思いとどまる。そうだった、何をしているのかと訊かれて暇潰しと答える女は、甲斐性なしなのだった。危ないところだった。


「ただの、ツーリングだよ」

「ツーリングかっ。格好いいなっ」


褒められた。

後に何か酷い言葉が続くと思ったが、何も続かない。


そうか、浦田くんは私を褒めることができるのか……。

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名無し16825号(プロフ) - ありがとうございます!これからも楽しみに待たせていただきます! (2020年3月28日 9時) (レス) id: 8fbf982787 (このIDを非表示/違反報告)
灰猫(プロフ) - 名無し16825号さんコメントありがとうございます!そう言っていただけてとても光栄です!この二人が付き合うかどうか等も今後の更新で分かりますので、ゆっくりですが今後も気長に更新を待っていただけると嬉しいです! (2020年3月28日 5時) (レス) id: 06fe930ba8 (このIDを非表示/違反報告)
名無し16825号(プロフ) - ところでこの二人付き合うんでしょうか?(( (2020年3月27日 22時) (レス) id: 8fbf982787 (このIDを非表示/違反報告)
名無し16825号(プロフ) - すごく続きが気になります!面白かったです更新頑張ってください! (2020年3月27日 22時) (レス) id: 8fbf982787 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:灰猫 | 作成日時:2020年3月26日 1時

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