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「いや、Aちゃんが一週間毒舌禁止とか言い出しそうな気がしたから、先に手を打っておこうと思って」
「そんなの、どうせ無理でしょ」
呼吸をするな、心臓を停めろに等しい。
それに、たとえ一週間といえども毒舌を禁止だなんて、そんなのは相川であって相川じゃない、私としても全く楽しくないじゃないか__っておい、どうして私が、もう相川の毒舌なしじゃやっていけないみたいなキャラになってんだよ。
危ないなあ……。
「仕方ないね……それにしても、エ ロ方面を禁止した途端、何の案もなくなっちゃうだなんて、驚きだよね」
「それは確かに事実だけど、禁止する前から案なんてなかったでしょうが」
「わかりました、Aちゃん。ちょっとくらいなら、エ ロくってもいいことにするよ。相川真冬の名に基づいて、欲望の解放を許可しましょう」
「……………………」
ひょっとして何か期待されてるのかな……。
ああ、今度は自意識過剰か……揺れるなあ。
「本当に何もないの? 勉強を教えて欲しいとか」
「それは諦めてる。卒業できればいい」
「では、卒業したいとか」
「普通にしてりゃできるよ!」
「じゃあ、普通にしたいとか」
「喧嘩売ってんだなそうなんだな!?」
「じゃあ、そうだね__」
相川は、間合いを計った風に、頃合いを見計らって、言う。
「彼氏が欲しいとか」
「………………」
これも__自意識過剰、だろうか。
何か、意味ありげな。
「欲しいって言ったら……、どうなるの?」
「彼氏ができるよ」
平然と言う相川。
「それだけのことだよ」
「……………………」
うん……。
深読みしようと思えば、できる台詞だけれど。
これが一体、どういう状況なのかは、本当のところ、全くわかったものではないけれど__何にしたって、自分に恩を感じてくれている人間に対して、付け込むようなことをするのは、よくないよな。道徳的にどうとかいうより、気分がよくない。
義理の恋人__でも、ないけれど。
歌詞さんの言っていたことが、なんだかわかる気がした。
勝手に助かるだけ__か。
歌詞さんからして見れば、私のやったことなんて__相川に対しても天宮に対しても、それに春休みのあの男……あの鬼に対しても、美しくはあっても正しくはなかったということなのだろう。
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名無し16825号(プロフ) - ありがとうございます!これからも楽しみに待たせていただきます! (2020年3月28日 9時) (レス) id: 8fbf982787 (このIDを非表示/違反報告)
灰猫(プロフ) - 名無し16825号さんコメントありがとうございます!そう言っていただけてとても光栄です!この二人が付き合うかどうか等も今後の更新で分かりますので、ゆっくりですが今後も気長に更新を待っていただけると嬉しいです! (2020年3月28日 5時) (レス) id: 06fe930ba8 (このIDを非表示/違反報告)
名無し16825号(プロフ) - ところでこの二人付き合うんでしょうか?(( (2020年3月27日 22時) (レス) id: 8fbf982787 (このIDを非表示/違反報告)
名無し16825号(プロフ) - すごく続きが気になります!面白かったです更新頑張ってください! (2020年3月27日 22時) (レス) id: 8fbf982787 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灰猫 | 作成日時:2020年3月26日 1時