9.静かに鳴る風鈴 ページ36
Aside
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『お祭り？』
「そう！Aも岩本くんと行ってみたら？」
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中学最後の夏。
学級からクラスに戻ると、波香ちゃんが一枚のチラシを見せてきた。
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波香ちゃんは、中2のクラス替えの時にできた友達。
少なくとも感じていた周りとの壁を気にせず、
「よろしく〜！荷物とか持つから頼ってよね！」
と、とても頼もしい存在。
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『うーん、照どうかな…夜の暗闇苦手だし』
「へぇ、意外と可愛いとこあんのね、タッパくん」
『タッパくんって…………』
「だって急激に伸びすぎでしょ！中3で178cmってさぁ」
『はぁ…波香ちゃんは行くの？お祭り』
「うん、A組の歩美と」
「お？なんだそれ」
「げっ、顔デカ」
「顔デカじゃねーーわ！！」
「…、に、そ、れ」
『(近くのお祭りだって)』
「(A行くの？)」
深澤くんと波香ちゃんの取っ組み合いを無視して、後ろからグイッと顔を近寄せてチラシを見る。
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ﾄﾞｷ､
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「(来週じゃん、行こうよ)」
『え、(いいの？)』
「(はぁ？Aが行くなら行くよ)」
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ﾄﾞｷﾝ、
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『……ぅ』
「んぁ？相澤なんでそんな顔赤いんだよ」
『…っ！知らないっ』
「深澤フラれてーんのっw」
「うっせぇ！！！」
「(決まり、な。浴衣着てくること)」
『(浴衣…？)』
「(去年母さんがあげたやつ、着てきて)」
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…そう、丁度一年前。
照ママから浴衣を貰った。
「Aちゃんにはちょっと大きいかな…裾合わせられるから、今度着てみて！絶対似合うから」
と言って貰った薄紫色の生地に黄色の花が散りばめられた可愛い浴衣。
お祭りなんて縁がなかったし、
人混みは苦手で歩き方とか、右足の形とかが、どうしても気になってしまい、
こんな素敵なものを着れる気にはなれなかった。
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『…(分かった、照も浴衣、着てきて)』
「(俺も？…分かった、母さんにあるか聞いてみる)」
そう言って私の頭をぽんぽん、と撫でて
何も無かったかのように深澤くんと波香ちゃんの所へ行ってしまう。
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…どうしよう、心臓が、苦しい。
なんなんだろうか、この苦しさは。
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まぼ(プロフ) - 更新ありがとうございます！陰ながらずっと待ってました (2022年11月11日 6時) (
レス) @page46 id: 06c3adb039 (このIDを非表示/違反報告)
ぱるてぃー(プロフ) - 更新ありがとうございます！更新してくれて本当に嬉しく思います泣 このお話が好きすぎていつも繰り返し繰り返し読ませていただいております…本当に好きです… (2022年7月18日 11時) (レス) id: 98132ec47d (このIDを非表示/違反報告)
ぴっぴ(プロフ) - 更新ありがとうございます！待っててよかったです。これからもファンとしてお話が続いてくのを楽しみにしてるので、焦らずゆっくりひらりさんのペースで更新続けて行ってくださると嬉しいです。 (2021年12月20日 3時) (レス) @page41 id: 59e8a972c2 (このIDを非表示/違反報告)
mitsuwako(プロフ) - 今現在障害を持つ子ども達を担任しているため色々考えさせられました。 (2021年10月10日 11時) (レス) @page40 id: 10c5e94b95 (このIDを非表示/違反報告)
アイ - すごく勉強になる作品で、とても面白いです！実際私も障害(この作品の照君のような障害)を持つ年下の男の子と仲がよかったのでちょっと思い出して涙が出てきました。これからも応援していきますので無理しない程度に更新していってください！ (2021年4月5日 16時) (レス) id: f99d55c0f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひらり | 作成日時：2020年7月25日 16時
