風柱、行方不明につき。【鬼滅の刃】

捜索拾玖 ページ19

「グーちゃんを助けてください」





そう願った。
新月の月に。

お父さんが叶うって言ってたから。
叶わなかったらぶん殴る。



お父さんが何個もお願いはするなって言ってたからこれでちょうどいいはず。








追い風が私の体を前へ前へと押してくれる。
早く行けと言われているみたい。


グーちゃんがそこにいるかのように風が吹き、木々がざわめく。


蝋燭の火が消えないように手で守る。
なんか弱い生き物みたい……。














蝋燭の灯りを頼りにさっきみたいに転ばないよう気をつけて歩いた。

すると少し先の方から鬼の声がした。
先程とは違い、風も無くなったので声がよく聞こえる。





「おーい、さっきの威勢はどうしたんだよ」


「グッ…」







え、まってまってまってま、

グーちゃんやられてる？？？？
もしやのもしや、やられてるよね！？？




その声が聞こえた瞬間足が勝手に動いた。
グーちゃん、ごめん。ごめんね。



あたし人間なのに。
鳥に頼っちゃってごめん。
それほど信頼してたの。





「…やっぱ、お父さんの言ってたこと迷信だわっ」





グーちゃんのこと助けて下さいって言ったのに。
風鳥の話が合ってたからって都合よくそんないかないよね。







「もう死にそうじゃねえかギャハハハ」




鬼の声を聞くだけで無性に腹が立った。
よくもグーちゃんを！！


あと少しでグーちゃんの所に辿り着く。
覚悟しとけよ鬼め！









……風柱様の刀使っていいかな？
いまあたし刀持ってなくて…てへ。









「…ん？女の臭いがすんなァ。この鳥も死にかけの鳥も飽きたわ」


その言葉にドキリとする。




グーちゃん死にかけ！？！？
泣きそうになる気持ちと怒りが一気に込み上げる。









「グーちゃんを…っ」




















『おいA！刀を投げろ』


「え？」








誰の声？？
今言葉発せられるのあたしか鬼くらいで……




増援なの？？
というか、いいの？これ風柱様の刀だけど。






今ピンチなので深く考えずに声のした方向へ思いっきり刀を投げた。





ごめんなさい風柱様……投げちゃいました。
あとで叩いても構いません！！
逆に嬉しいです！！！









あたしは声の正体が気になり足を速めた。
よかった、人の気配がする。



目の前を見てびっくり仰天。














ぼんやり見えたその背中。















見えたのは、“殺”の字。

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