22話目 ページ24
『……何で私にばっかり……』
そんな独り言を呟きながら職員室に戻ったAは、自分のデスクの上に大量の資料が置かれている事に気がついた。
『……大分増えたなぁ…そろそろ家に持ち帰ってやらないと』
溜息を吐きながら、Aは資料を確認していく。
そんな時、ある一枚の資料が目に留まった。
『……新任教師…バルス・ロビン』
Aはそう呟きながらもう何十回も繰り返したその資料に目を通していく。
すると、Aのデスクに置かれてある電話が鳴った。
Aは、それを手に取り耳に当てる。
『はい、悪魔学校バビルス教務課』
電話の向こうから聞こえる、愉快そうな男性の声にAは顔を顰めた。
『……君は…新任だよね、今は何処で何をしているの?誰かと一緒?……うん……うん……』
電話から聞こえる声は、Aが何も言わないのを良いことに言葉を続ける。
『うん、大まかな話は分かったよ……取りあえず、君には明日から出勤してもらう。宜しく頼むよ』
そんなAの言葉と共に電話が切れる。
ツー……ツー……と音の鳴る受話器を置くと、職員室には静寂が訪れる。
Aは自分のデスクに積まれた大量の資料を見つめながら大きく溜息を吐いた。
ダリ「新人くん、明日から出勤?」
デスクに肘をつき、口元を隠して何かを考えるような素振りをAが見せていた時、ダリの陽気な声が鼓膜を揺らした。
『ああ、準備に没頭しすぎて気が付いたら学校開始日を過ぎていたそうだ』
ダリ「あははっ、そんな子居るんだねぇ」
『……これは、今年も面白くなりそうだ』
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作成日時:2023年12月13日 7時