１５話目 ページ17
エイトside
「……あれ、A先生」
校内の見回りをしていたら、見知った背中を見つけてつい声を掛けてしまった。
『……嗚呼、警備か』
振り返ったA先生は何時もと相変らずの無表情だったけど、何か疲れてるような雰囲気を感じた。
「すいません、見回りの途中で見かけてしまって……頭痛はイチョウがあげてた薬で良くなりました？」
『…そうだね、もうすっかり良くなっているよ』
そう言ってA先生は小さく笑みを零した。
A先生の笑みなんて珍しい……というか、初めてな気がする。
「良かったです！あ、そういえば…さっきからやけに騒がしいですけど、何かあったんですか？」
『……あれ、警備は筆頭が特待生の使い魔になった事知らないんだっけ…？』
A先生は意外そうな顔をしてそう問いかけてきた。
「使い魔！？え、カルエゴ先生がですか！？」
僕が驚きの声を上げると、A先生は小さく口を開く。
『そうだよ、異例の事態で私達もお手上げ状態なんだ』
A先生の話を聞いて、僕は今召喚の儀を行っているカルエゴ先生の姿を想像して笑った。
「はははっ！それは凄いですね……あ、それじゃあ多分この後大変だと思いますよ……」
『嗚呼……そうだろうな……』
A先生は溜息混じりにそう零した。
『……それじゃあ、私はまだすることがあるから』
そう言って歩き出したA先生を見て、僕は慌てて口を開く。
「あ、あの！このあとの召喚の授業、担当変わるんですか？」
『うん……それも含めて理事長に掛け合ってくる』
A先生はそう言って少し疲れたような笑みを僕に見せた。
「……お疲れ様です……」
そんなA先生を見て思わず苦笑いを零してそう零すと、小さく頷いてから歩いて行った。
＿＿＿＿あ、A先生に性別の事聞くの忘れてたな。
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作成日時：2023年12月13日 7時
