27 ページ27
最近になって、おばあちゃんの体調が思わしい状態ではなくなった。
歳を重ねるごとに呼吸器系が弱くなり、こうして何度か入退院を繰り返したのも弁当屋を引退してからだった。
また、いつものように病院で投薬を受けて安静にしていれば問題ないだろう、そう思っていた。
しかし、医師から告げられたのは悲しい現実だった。
『おばあ様の肺は、かなり弱っています。急性肺炎になった場合、体力が少ない今何が起こるかわかりません』
それは、遠回しに「死」を覚悟しろと言われたようなものだった。
今、目の前にいる祖母は静かに眠っている。
まるで、弱っているなんて嘘のように。
しかし、それも薬のおかげなのかと思うと胸が痛くなった。
「ちょっと前まであんなにおしゃべりできてたのに」
おばあちゃんに話したいこと、たくさんあるんだから、どうか早く良くなって。
そう祈りながら、水を入れ替えた花瓶にヨンジュ姉さんから頂いたクレマチスを入れた。
祖母の病院を後にした私は、今から帰宅するとジョングク君に一報連絡を入れた。
そのあと、間も無くしてジョングク君から連絡がきた。
『迎えに行く』
その言葉に少しだけドキリとした。
彼は、こうして私のことを甘やかしてくれるので、私ももっと頼りたくなってしまう。
「甘えても、いいのかな…」
これは自分の問題だと思いつつも、祖母を失う不安を少しでも拭い去りたくて、彼に手を伸ばしたくて仕方がなかった。
病院から少し離れたコンビニの前で待っていると、ピコンと携帯が鳴った。
「あ、ジョングク君」
JK「ついたよ、A。目の前にいる」
そう言われて顔を上げたら、黒塗りのSUVハリアーから赤いパーカーを着て手を振っているジョングク君が目に映った。
JK「ごめんね、待たせちゃって。」
「ううん、こちらこそ。迎えに来てくれてありがとう」
車に入ると、彼からふわっとお風呂上がりのシャンプーの香りがした。
なんだろう、この安心感は…
ジョングク君といる空間が居心地よすぎて、先ほどまで不安だった心が暖かくなるのを感じた。
「ジョングク君と一緒にいると、落ち着くね」
JK「どうしたの急に…、あ。シャンプーの匂い？」
「ふふ、当たり〜！早くお家に帰りたいな」
私の言葉と同時に、きゅるるとお腹が鳴った。
そうだった。おばあちゃんの所でお弁当食べようと思ったのに、いろいろ考えていたら食べるのを忘れてしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 314人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆき(プロフ) - (名前)マコさん» 全作読んでいただきありがとうございます！これからもよろしくお願いますm(_ _)m (2019年9月15日 12時) (
レス) id: 39e3cdebd3 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)マコ(プロフ) - ゆきさんの作品を全部読ませていただきました！ とっても優しく幸せな世界に癒されて、私も優しい気持ちになれました^_^ ありがとうございます！ これからも楽しみにしています！ (2019年8月11日 22時) (レス) id: 1cef87080f (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - はるかさん» ありがとうございます！普段はグクちゃんと呼んでアミ活をしてるのですが、ここではかっこいいグクを理想に書いていきます！ (2019年7月31日 19時) (レス) id: 4ece362860 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 猫わかめさん» ありがとうございます！かっこいいジョングクと愛される主人公をこれからも書いていきます。 (2019年7月31日 19時) (レス) id: 4ece362860 (このIDを非表示/違反報告)
はるか - とにかく主人公可愛いしグクもめっちゃカッコいい…次の更新楽しみにしてます。 (2019年7月31日 17時) (レス) id: 2c32449133 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆき | 作成日時：2019年7月29日 3時
