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夕暮れ時の空には、薄く月が登っていた。
昼間の暑さとは変わって、吹く風が冷たく心地いい。
土砂崩れで通行止になっていたトンネルも、明日の朝には開通するそうで、ここへ来た記念に何か思い出に残ることをしたいなと、私は夕餉の善を手にしながら考えていた。
「A、ボケーっとしてたら善ごとひっくり返るぞ」
「レンこそ、やかんがピーピー鳴ってるわよ」
けたたましい音が鳴り響き、レンは「うるせー」と言いながらやかんの元へ走った。
「あのね、明日みんな帰るから、何か思い出に残ることをしたいな〜と思ってたのよ。何がいいかしら」
「そうだなー…なんかさ、夏らしいことでいいんじゃないか?ほら、日本だと夏の夜といえば何かないの?」
日本の夏といえば…
「そうね…夏の夜といえば、あ、花火!花火よ!」
先月、旅館のみんなでやろうと思ってアマゾンで取り寄せた花火があったはず。
湿気っていなければいいけど。
「それでいいんじゃないか?まあ、俺としてはBTSが泊まった宿って言って宣伝したいけど」
冗談だけどな、と言ったレンに私も頷いた。
「普通なら、そうするよね。でも、そうしちゃうと、もう彼らはこない気がするの。来たいけど、来れない…それだけは、できないわ」
そうだな、と言ってレンは私の頭をポンと撫でた。
あの人たちが、疲れた時に癒される場所でありたい。それが、この旅館皆の思いでもあった。
TH「Aちゃーん!ジョングクばっかりじゃなくてさ、隣きてよ〜話しよーよ!」
Aはここにいてと言われ、私は料理を出して落ち着いた後はジョングクの隣に座っていた。
お客様からのご指名を断ることもできないので、私はテヒョンの所へ腰を下ろした。
JK「テヒョニヒョンー!5分だけですからね!はい、カウントスタートー」
TH「ずるいぞジョングガー!Aちゃん独り占めにして、俺の時間を止めることは誰にもできない!」
よくわからないことを言っているテヒョンに、私は思わず笑ってしまった。
「テヒョンさん、温泉は気持ちよかったですか?」
TH「うん!ここ、とっても落ち着くから大好きだよ。あと、Aちゃん。テヒョンさんじゃなくて、オッパって呼んでね、ね!」
JM「あ、テヒョナずるい!俺もオッパって呼んでー!」
テヒョンのオッパ呼び要求に、皆がわらわらと詰め寄ってきた。
「わ、わかりましたから。オッパ達、お食事中は席を立たれませんように!」
この日も、賑やかな夕食となった。
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あーちゃん(プロフ) - とりま最高 (2019年10月10日 16時) (レス) id: 578ed0c715 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 愛(サランさん» ありがとうございますm(_ _)m 次回作もお楽しみに…笑。 (2019年3月21日 16時) (レス) id: 6fb3a64d96 (このIDを非表示/違反報告)
愛(サラン(プロフ) - お、おわり、、 めちゃくちゃ面白かったです!ありがとうございました!次もあるなら待ってます!お疲れ様でした (2019年3月21日 14時) (レス) id: bbbfbb5774 (このIDを非表示/違反報告)
つき - 凄い面白いです!更新頑張って下さい! (2018年12月17日 15時) (レス) id: e9fb8ac079 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - ちあさん» ありがとうございます。頑張ります♪ (2018年12月6日 14時) (レス) id: 62b0c80745 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆき | 作成日時:2018年9月14日 15時