ポニーテールは色気だけじゃない ページ10
艶々した紫の髪が左右に揺れる。
高い位置で括られたヘアスタイルは俗に言うポニーテール。真選組の服装と共に、Aにやけに似合っていた。
当の本人は朝とは打って変わって、まさに夢見る少女の顔。
きめ細やかな肌は熱で蒸気しており、紅の瞳はウルウルと煌めいている。
白魚のような細い指はしっかりと竹刀を握り、道場を駆ける足は重力を知らない。
彼女はまさに、花畑を駆けるお嬢様のように見えた。
音が聞こえなければ。
バキッゴキッメキメキメドガン!パンパラパッパン
「お妙さん!割れました!次の的お願いします!」
どこから持ってきたのか、ひどく硬そうな木製の的が置かれていた。
Aはそれを片っ端から切っていく。
いくら竹刀と言えども、切れ味はまさに真剣。
女子の力であれが成せるとは到底思えない。
そして、志村新八はこれからその超人に試合を挑まなければいけなかった。
「いや、無理でしょ!」
「やーい、新八の意気地なしー!やっぱりヲタクに存在価値なんてないネ」
「やれーやっちまえ新八ー、この勝負に勝てばイチゴミルク100本だぞー」
ちょっと煩い外野二人。
因みにAの酢昆布&イチゴミルク100日分と言う報酬に釣られてきた。
なんやかんや言って新八はAと対峙する。
一礼して構えた。
そして彼女と目を合わせて震撼する。
(何だ、この闘気……)
先程とは似ても似つかない。
いっそ禍々しいほどの圧力が発されていた。
それは新八の生命力をいざ吸い取らんと爛々と目を光らせている。
深淵を覗いてしまったかのような怖気に、まだまだ幼い若き少年の膝は限界を迎えた。
「______すみません!何でもあげますから命だけは勘弁を!」
土下座。
人間の尊厳をかなぐり捨て、地面と同化する最低な行為。
道場の面子からの鋭き氷の視線が新八に致命傷を与えていく。
「じゃあ銀さんと勝負がしたいです」
おもたき静寂を破ったのはA。
新八は思わず顔を上げた。
残念ながら彼女の瞳には微笑みが一切ない。
代わりに「それくらいできるよな?」という圧_
「はい!是非是非!こき使ってください!」
「おい新八!」
焦る銀時の声を他所にAは大層可愛く微笑んだ。
「さ♡銀さんヤりましょ♡」
______否。
目の奥が笑っていなかった。
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猫毒(プロフ) - ☆さん» コメントありがとうございます!またテスト期間が再来しました…更新頑張ります! (2022年6月21日 16時) (レス) id: 406276a8fb (このIDを非表示/違反報告)
☆(プロフ) - うわああ…めちゃくちゃ好きです🤦♀️無理なさらず頑張ってください…!!応援してます! (2022年6月17日 9時) (レス) @page11 id: f76d03d4ec (このIDを非表示/違反報告)
猫毒(プロフ) - 観葉植物2号さん» コメントありがとうございます!!!レス遅くなってごめんなさい…一ヶ月ずっとニマニマしてたので忘れてました((更新頑張ります! (2022年5月24日 16時) (レス) @page11 id: 60e955f946 (このIDを非表示/違反報告)
観葉植物2号(プロフ) - 声出して思いっきり笑いましたwwギャグセンス高すぎるw これからも更新頑張ってください!!!! (2022年4月30日 0時) (レス) @page2 id: 9098365451 (このIDを非表示/違反報告)
猫毒(プロフ) - 休日はゆっくりするべしさん» コメントありがとうございます!ギャグセンスには自信が本当に0なので安心しました…!こんな作者でも、応援よろしくお願いします! (2022年4月18日 18時) (レス) @page7 id: 057b83dcbe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:猫毒 | 作成日時:2022年4月16日 12時